日倉協・福西広報委員長が指摘、25年度事業計画は「トラック・物流Gメン」対応など列挙へ
日本倉庫協会は3月6日、東京都内で2025年度の事業計画案などに関して記者会見した。
席上、広報委員会の福西康人委員長(杉村倉庫社長)は、倉庫業の領域で電気代などのコスト上昇分を保管料に転嫁する動きが他の業界より遅れていることに懸念を表明。価格転嫁の促進が最重要課題として、同協会としても積極的に取り組んでいきたいとの考えを示した。
日倉協会見
会見する福西氏
福西氏は公正取引委員会が昨年12月に発表した価格転嫁の進捗状況に関する調査結果で、道路貨物運送業が取引価格の引き上げ割合が低いことが示された点に言及した上で「倉庫業も同様に、不十分と感じる結果だと思う」と説明。
「倉庫業者が受ける肌感覚としては、運送料の値上げは許容してもらえるものの、保管料の値上げは先送りされたり、希望した値上げ幅よりも低い割合で価格交渉が決着してしまったりするケースが多いように感じる。他の倉庫業者の皆様とお話をしていても、このような認識をお持ちの方が多いようだ」と指摘した。
さらに「昨今の電気代高騰、労務費上昇のような厳しい事業環境に対応していかないといけない状況では、価格転嫁実施が最も重要な課題と認識している」と述べ、対応の重要性を訴えた。
また、国土交通省が昨年11月、「トラックGメン」を「トラック・物流Gメン」に改組し、倉庫業者からも不適切な取引に関する情報を収集する方針を決めたのを受け、同協会としても情報収集窓口を運営、サポートしていく姿勢をアピールした。
米田浩理事長は事業計画案に関し、政府が4月に改正物流総合効率化法(物効法、法施行後は物資流通効率化法に名称変更)のうち、荷主企業や物流事業者に物流業務効率化を努力義務として課す部分を施行することや、物流拠点の在り方に関する官民の検討会で近く考えをまとめ、政策に展開していく見通しとなっていることなどを踏まえ、「世の中の大きな流れの中で、倉庫業界として適切に対処していく。残念だったなと思うことのないよう対応していく」と強調した。
重点課題として、24年度に引き続き、「物流2024年問題」や人材不足、カーボンニュートラルなどに対応していく方針を明示。20年ぶりに「人材確保委員会」を開設し人手不足対応を協議していくことなどに触れ、各委員会を軸に事業計画の内容を展開していく意向を語った。
会見する米田氏
(安藤照乃、藤原秀行)