富士経済「製造業向けロボットの世界市場は25年に2.8兆円」

富士経済「製造業向けロボットの世界市場は25年に2.8兆円」

人手不足の深刻化と人件費高騰でヒト協調型などが拡大基調

市場リサーチなど総合マーケティングビジネスを手掛ける富士経済は6月25日に発表したマーケットリポート「2019 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望No.1 FAロボット市場編」で、2025年における製造業向けロボットの世界市場は18年から2.5倍の2兆8675億円に拡大すると見通した。

調査は18年12月~19年2月にかけて実施。製造業向けロボット16品目、半導体・電子部品実装向けロボット11品目、ロボット向け注目構成部材11品目、IoT(モノのインターネット)・AI(人工知能)・サービス4品目を対象に、参入企業や関連企業・団体へのヒアリングと関連文献、社内データベースを併用した。

スマートフォン関連やEMS、自動車関連、産業機器、食品、衣料品、化粧品などさまざま分野で需要が増加している製造業向けロボットは、世界的な人手不足の深刻化と人件費高騰を背景に今後も市場は堅調に推移すると展望。19年はスマホの新機種向けで需要回復、米中貿易摩擦の影響緩和や停滞している案件の進展で引き続き拡大が見込まれることから「ロボットの活用は一時的なブームにとどまらず今後も広がっていく」としている。

分野別では組み立て・搬送系が自動化ニーズ、アクチュエーター系はスマホ関連以外の電子機器や産業機器、食品、溶接・塗装系は自動車関連を中心に伸長。また注目市場としてヒト協調ロボットが7倍の4110億円、IoT・AI・サービスが2.2倍の2100億円、ロボット制御ソリューションが17.5倍の245億円、ロボットビジョンシステムが3.3倍の491億円と予測する。

このうちヒト協調ロボットは日本市場が7.2倍の850億円、ロボットビジョンシステムはアジア市場が5.5倍の220億円で大きなウエートを占めると分析。特にヒト協調ロボットは人の作業工程や作業スペースにそのまま置き換えが可能、生産量の増減への柔軟な対応といった観点からも需要が高まっていくとみている。

(鳥羽俊一)

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