政府が「自動運転に対応した道路空間に関する検討会」の初会合開催

政府が「自動運転に対応した道路空間に関する検討会」の初会合開催

高速道・一般道の整備方針など議論、今秋めどに中間提言へ

政府は7月2日、東京都内で「自動運転に対応した道路空間に関する検討会」(座長・羽藤英二東京大大学院工学系研究科教授)の初会合を開催した。

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官民で実現を目指している自動運転の普及促進に向け、今後高速道路や一般道路をどのように整備していくかについて議論。今年秋をめどに、自動運転の普及初期段階と目される2025年ごろを想定した道路空間の在り方について中間提言を策定する。

検討会は有識者5人と国土交通、経済産業、総務の各省と警察庁の関係省庁担当者らで構成。先に国交省の「新しい物流システムに対応した高速道路インフラの活用に関する検討会」が策定した中間取りまとめの内容も踏まえ、提言内容を検討。政府が掲げている「2022年以降に後続車が無人のトラック隊列走行を商業化」などの目標達成後押しを目指す。


初会合の会場

初会合で事務局は高速道路と一般道路に分けて、主な検討内容を提示した。
このうち高速道路に関しては、
▼トラック隊列走行
・【走行空間】=隊列走行空間の構造や管理についての使用・基準
・【必要な安全対策】=ランプメータリング(高速道の進入車線に信号機を置いて車の流入量を調整する手法)などの合流制御方法
・【隊列の形成・解除拠点】=専用の走行空間に直結する物流拠点の整備手法
▼自家用車
・【走行空間】=自動走行に対応した道路空間の構造や管理についての使用・基準
・【インフラからの走行支援】=自己位置特定の支援方法(位置情報の提供方法、高精度3次元地図の基準点整備)

一般道路(中山間地域など)については、
▼輸送サービス
・【走行空間】=自動走行に対応した道路空間の構造や管理についての使用・基準
・【必要な安全対策】=交差部における情報提供方法、地域におけるルール
・【インフラからの走行支援】=電磁誘導線、磁気マーカーなどによる支援方法
――を列挙した。

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具体的には、高速道の隊列走行については、これまでに行ってきた実証実験で浮かび上がった課題を基に、
・専用レーンの設定方法
・SAやPAでトラックの隊列形成・分離を安全に行えるスペースの確保
・一般車両や他のトラックが分合流部で安全に合流できる「ランプメータリング」の活用
・専用レーンから物流施設に直接入ることが可能なスマートICの整備
――などが検討テーマになるとみられる。

このほか、高速道の自家用車については自己位置特定に不可欠なGPSの受信精度低下回避策など、一般道の輸送サービスに関しては自動運転車両と人間が交差しないよう走行専用空間を確保する手法などについてそれぞれ議論する見通しだ。

初会合の冒頭、国交省の池田豊人道路局長があいさつし、「政府の自動運転達成目標の年がいよいよ目前に来ている。委員の皆さまにはさまざまな検討をお願いしたい」と要請。

座長の羽藤教授は「政府として目標などを示されているが、現実の道路空間にインストールしていこうとするとさまざまな問題が起きる。道路空間としていかに(課題を)解いていくかが検討会で議論すべきところ。枠組みをぜひ検討会で深掘りしていきたい」と語った。

三菱総合研究所の杉浦孝明主席研究員は自動運転の開発動向と課題・効果について発表。「現状の技術で『レベル4』相当の自動運転を実現するためには、車両のセンサーや制御機能などが高い信頼性で作動するための日常メンテナンスに加え、走行空間の管理・コントロールが必要」と指摘し、道路の保全や運行供用者への天候・周辺環境の状況に関する情報提供などの重要性を強調した。


あいさつする池田局長

提言策定への意気込みを示す羽藤座長

(藤原秀行)

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