新中計公表、営業利益4割増を想定
ニチレイロジグループ本社は5月19日、東京都内の本社で、メディア向けに2024年度の事業報告会を開催した。
この中で、25~27年度を対象とする新たな中期経営計画「Compass×Growth2027」(コンパス×グロース)を公表。国内冷食物流の保管・輸配送能力増強、小売業向けの物流網整備、欧州やASEAN(東南アジア諸国連合)の事業規模拡大などを図る方針を明示した。
経営の数値目標として、連結売上高は24年度実績の2783億円から最終の27年度に12%増の3120億円、営業利益は157億円から43%増の226億円に引き上げるシナリオを描いている。
ニチレイロジの嶋本和訓社長は「低温物流のナンバーワンソリューションカンパニーとしてのポジション確立を目指す」と新中計の狙いを解説した。
新中計は経営数値目標達成の前提として、337億円の増収分のうち欧州事業で125億円、アジア事業で72億円をそれぞれ積み上げることを計画しており、海外拡大に注力する姿勢を鮮明にしている。
国内の冷食物流で保管・輸配送能力を拡大させるため、関東・関西・九州の各エリアで冷凍・冷蔵倉庫の庫腹能力を増強するとともに、冷食メーカーからの低温物流の包括受託も進める方針を表明。
2024年問題対応の一環として展開している、荷台部分を切り離せるトレーラーの特性を生かして中継輸送を推進しトラックドライバーを物流拠点の積み下ろし作業から解放する輸配送システム「SALS」(サルス)についても、用いるトレーラーの台数増強で需要の伸びをカバーしていく構想を掲げている。
併せて、他社の運営拠点の協力も得ながら、より迅速かつ安定的な輸配送を可能にする新たな低温物流ネットワーク「NL+LiNK」(エヌエルリンク)を関東や関西・中四国で本格的に稼働させるとともに、東北エリアでも広げていく計画を明示している。
輸送実績などのデータを分析し、経営改善につなげる「データドリブン運営」を実現するため、30年度末の全国主要拠点で主な作業工程を100%でデジタル化することを念頭に置き、最先端の自動化機器の検証などを進めることを打ち出している。
海外では、英国やポーランドで拠点に投資し輸配送・保管の機能を強化し、主力港湾の物流拠点運営や広域輸送の両事業を伸ばしていくことも盛り込んでいる。
ASEANでは昨年7月にベトナムで、今年3月にタイでそれぞれ竣工した新倉庫を使い、収益を伸ばしていくほか、マレーシアでも現地物流企業を傘下に収め、事業機会を掘り起こしていくことを描いている。
(藤原秀行)