ステンレス密封真空断熱パネル採用、食品や医薬品などの分野で活用見込む
タイガー魔法瓶は5月29日、日本通運や岐阜プラスチック工業と共同で、ステンレス密封真空断熱パネル「TIVIP」(ティビップ、TIGER Vacuum Insulated Panel)採用の保冷輸送器材を開発したと発表した。
大阪・関西万博会場内の保冷輸送で活用を開始した。
新開発の保冷輸送器材3点と報道機関向け説明会で撮影に応じる(左から)岐阜プラスチック工業・岩井真人氏、タイガー魔法瓶・南村紀史氏、日本通運・藏田隆典氏
開発・実証中の保冷輸送機材のうち、5月27日から大阪・関西万博会場内で運用を開始した真空断熱ロールボックスと真空断熱プロテクトボックス「プロテクトBOXサーマル」、今後の導入を検討している真空断熱リーファーコンテナ(冷凍・冷蔵)を、報道機関向け取材会でお披露目した。
万博での実証では温度データの取得・分析も行い、プロテクトBOXサーマルは2026年度の商品化を目指しており、食品や医薬品、電子部品、美術品など幅広い分野で活用できると見込む。
取材会の様子
断熱材はパネル内部を真空状態にすることで熱伝導を非常に低く抑えているのが特徴。一般的な真空断熱以外の断熱材と比較して、非常に薄い厚みでも高い断熱効果を発揮できるという。このため、省エネやスペース効率を重視する分野での使用が期待できると想定している。
ステンレスを用いることで、従来の非ステンレスの真空断熱材では得られなかった不燃性と高断熱性の長期間維持が可能になった。特にエネルギー効率や温度管理が求められる輸送分野や建築・建材分野で活躍できるとみている。
(藤原秀行)※いずれもタイガー魔法瓶提供