レンタル枚数はまだ不足と指摘
日本パレット協会の二村篤志会長(日本パレットレンタル社長)は5月29日、東京都内で開催した2025年度通常総会の後に記者会見し、「物流2024年問題」を受けた物流拠点の荷役効率化・迅速化が強く求められていることに関し「人手不足、ドライバー不足の問題があり、労働環境も変わってきている。パレットを利用しないといけない環境が増えてきているので、国の政策も進んでおり、使用枚数は徐々に増えてくると考えている」と展望した。
同時に、レンタルパレットの利用開始には時間がかかると指摘し、普及の促進へ発着荷主と直接対話して、パレット物流のメリットなどを繰り返し説明していくことが必要との決意を示した。
会見する二村会長
同協会の調査では、24年度の国内パレット生産数量は前年度比0.9%減の5530万126枚、レンタルパレット保有数量は3.4%増の3101万4357枚だった。
二村会長は調査結果について、レンタルパレット保有の規模が10年で約1.5倍に伸びている点などを指摘しながらも「持続可能な物流の実現に向けたレンタルパレットの利活用推進という官民の方向性が示されている中では、まだまだ不足している。より多くの発着荷主に活用していただくための直接対話が必要だと認識している」と語った。
生産数量の落ち込みに関しては、中国の景気低迷による日本からの輸出用木製ワンウェーパレットの需要減少、食品・日用品の値上げによる購入控えなどが影響しているとの見方を示した。
その上で「パレット輸送する場面は増えてきているが、今日明日すぐに始められることではない。設備投資・改修をしなければいけないケースも多々ある。パレットを導入しようとしてから完了するまで、場合によっては数年かかる」と指摘。
レンタルパレットの普及には紛失の課題を解決する必要があるとの認識を示し、「着荷主側でパレットの管理精度が上がり、安全・安心にパレット輸送を行える環境ができあがればもっと(輸送の機会が)増えていくのではないか」と述べた。
(藤原秀行)