住友商事がベトナムの港湾ターミナル大手GMD社に資本参画

住友商事がベトナムの港湾ターミナル大手GMD社に資本参画

JOINと鈴与の3社で現地合弁設立、物流効率化など推進へ

住友商事は7月9日、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)ならびに鈴与と共同でベトナムの港湾・ロジスティクス事業最大手「GEMADEPT CORPORATION」(ジェマデプト コーポレーション、GMD社)に出資したと発表した。ベトナムの港湾ターミナル運営事業への参画を目的に、3社で設立した現地合弁を通じて10%の株式を保有する。

GMD社は1990年設立。ホーチミン市に本社を構え港湾事業、ロジスティクス事業をコアビジネスとする同国トップクラスの民間企業として知られる。既設のナムハイ港、ナムハイディンブー港、ナムディンブー港(いずれもハイフォン市)、ユンクワット港(クワンガイ省)、フックロン港(ホーチミン市)、ビンズオン港(ビンズオン省)や建設中のジェマリンク深海港(バリアブンタウ省)を含め計7カ所の港湾ターミナルを運営。2002年にはホーチミン証券取引所への上場を果たしている。

18年のコンテナ貨物取扱量は170万TEUで取扱量は同国全体の12パーセントを占め、コンテナターミナル運営事業者で第2位の規模を持つ。またロジスティクス事業ではディストリビューションセンター、トラック輸送、重量物運送、船舶輸送、空港貨物ターミナルなど多様なサービスを手掛ける。

住商はGMD社と業務提携契約の締結および取締役派遣によって関係を強化。既にベトナムで展開する物流事業、工業団地事業を中心とした港湾の後背地事業などで連携を進めるとともに、IoT(モノのインターネット)技術を軸とした物流コスト・時間の最適化、環境負荷の低減、貨物のセキュリティー向上などを可能にする広域スマートロジスティクスの実現を目指す。

ベトナムでは急速な経済成長に伴う消費市場の拡大、米中貿易摩擦の影響に伴う生産拠点移管により物流需要が増加している。17年のコンテナ貨物取扱量は1200万TEU超で25年には約2300万TEUまで増加すると予測される。

今回を契機に住商はJOIN、鈴与とともにベトナムでさらなる物流効率化を推進。工業団地の入居企業を含むベトナム国内事業者と地域の利便性・競争力向上を促すことで、ベトナムおよび周辺国の経済活性化と発展に貢献していく考え。


出資スキーム

GMDが運営するターミナル全景
画像は住友商事ニュースリリースより

(鳥羽俊一)

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