効率向上図る
商船三井と三菱重工業グループの三菱造船は6月30日、共同で開発している液化CO2とメタノールをそれぞれ輸送できる船に関してコンセプトスタディ(実現可能性や具体的な内容を検討するための調査・研究)を実施し、一般財団法人日本海事協会(NK)から技術要件や安全性の基準を満たすことを証明する「基本設計承認(AiP)」を取得したと発表した。
両社は同船でAiPを取得したのは世界で初めてと説明している。
液化CO2・メタノール兼用輸送船 運航イメージ
CO2を燃料や化学製品に転換する技術は、CO2を分離、回収、利用、貯留する手法「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)」でCO2の利用法として注目度が高まっている。その一環として、回収したCO2を原料として、CO2と再生可能エネルギーで生成した水素を組み合わせた「合成メタノール」の製造実用化を目指す動きがあり、合成メタノールは海運業界の脱炭素化に貢献する船舶燃料の一つとしても期待されている。
AiPを取得した本船は、低圧仕様の液化CO2(LCO2)輸送船をベースに開発し、往路で原料のCO2、復路で合成メタノールをそれぞれ輸送することを想定している。それぞれに専用船を用いた場合、片航路は空荷での運航になる一方、兼用できるようになれば空荷の運航を解消し、全体の輸送効率が高まるとみている。
両社は今回のコンセプトスタディで得た知見や技術課題を踏まえて開発を進め、本船の製品化を目指す。
AiP証書
(藤原秀行)※いずれも両社提供