商船三井が世界初、「発電船から電力供給する洋上データセンター」を共同開発へ

商船三井が世界初、「発電船から電力供給する洋上データセンター」を共同開発へ

トルコのエネルギー企業グループと連携、27年の運用開始目指す

商船三井は7月7日、世界最大級の発電船事業などを手掛けるトルコのエネルギー企業Karadeniz Holding(カラデニス・ホールディング)傘下のKinetics technologies holdings(キネティックス・テクノロジーズ・ホールディングスと、“発電船から電力供給する洋上データセンター”の共同開発に向けた基本合意書(MOU)を締結したと発表した。

両社はMOU締結を契機として、2027年の運用開始に向け、洋上データセンターと発電船を組み合わせた事業展開を検討、技術的検証も進める。

 
 


発電船と洋上データセンターのイメージ


発電船の写真(引用:https://karpowership.com/

商船三井はキネティックスグループと組み、世界初の事業モデル構築を目指す。

具体的には、商船三井の中古船を再利用して洋上データセンターを建設し、カラデニズの発電船から電力を供給。生成AIの普及などで急増するデータ処理ニーズに対応することを想定している。

生成AIの登場でデータセンターの需要は急増している一方、供給側は都市部での電力不足や土地不足、冷却に使用する水不足が顕在化しており、洋上データセンターと発電船の統合事業モデルはこうした課題を経穴できると見込んでいる。

商船三井は具体的なメリットとして、発電船と組み合わせることで、地域電力から独立して運用できるため、電力がひっ迫している地域でも即時にデータセンターの運用を始められることや、従来の陸上データセンター開発と比較して開発期間を最大3年短縮できる可能性があること、中古船をベースとする洋上データセンターは浮体式のため、需要の変化に応じて稼働場所を変更することが可能なことなどを挙げている。

 
 

さらに、建設に要するコストを削減できるほか、既存の船内システム(空調、取水、発電機など)を活用することで、初期投資のコスト削減が見込めると指摘。海水を活用した水冷システムはエネルギー効率が良く、サーバーの冷却に必要な電力消費を抑制し、運用コストを削減することが可能とみている。

約5万4000㎡の床面積を有する自動車運搬船は延床面積ベースで日本最大級の陸上データセンターに匹敵するという。

(藤原秀行)※商船三井提供

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事