アイ・グリッドが新サービス開始、20年固定料金で提供
伊藤忠商事などが出資し、太陽光発電事業を手掛けているアイ・グリッド・ソリューションズは7月9日、屋根の形状が曲線になっていたり、築年数が経過していたりするなど建物自体の問題で太陽光発電設備を導入できない施設に、同社が運営を担っている発電施設で生み出した再生可能エネルギー由来の電力を安定して供給するサービス「循環型電力」を開始したと発表した。
同社は全国1200カ所以上のスーパーや物流施設、飲食店舗などで屋上や駐車場を借りて太陽光発電設備を置き、作り出した電力を供給する「オンサイトPPA」の事業を展開している。電力はそれぞれの施設で自家使用するのが基本だが、このうち約300カ所で使いきれない余剰の電力が生じているため、大手電力会社の送電網を介して希望する事業者らに余った分の電力を送り込み、有効活用してもらう。
(アイ・グリッド・ソリューションズ提供)
サービス利用者には20年間固定の電気料金で再エネ由来電力を提供し、需要の変動による料金上昇のリスクを回避して安定的に再エネ由来電力を調達できるよう後押しする。サービスの利用開始まで最短2カ月程度でこぎ着けられるという。脱炭素の潮流が強まる中、再エネ由来電力を使いたいとの事業者らのニーズに対応することを目指す。
東京都内の本社で同日、記者会見した同社の秋田智一社長は「屋根の広さに比べて施設の電力使用量が少ないホームセンターやドライの倉庫で特に多く再エネ由来電力の余剰が発生している」と指摘。省エネの推進などで今後余剰がさらに生まれる可能性があると展望し、「循環を考えながら余剰分をくまなく使える仕組みを作らないともったいない。サービスメニュー開発を今後も続けていきたい」と語った。
また、太陽光発電をめぐっては事業者が森林を無許可で伐採するなど強引に設置し、環境破壊につながっている事例が全国で発生している点に触れ、新サービスを普及させて各地の施設を再エネ由来電力の供給元として最大限活用することでこうした問題を防ぎたいとの考えを示した。
会見後の撮影に応じるアイ・グリッドの秋田社長(右)と那須智仁執行役員エナジートレーディング部長
(藤原秀行)