抜本的な改革支援、30年ごろの竣工目指す
日本郵船、商船三井、川崎汽船、一般社団法人日本船主協会の4者は7月21日、独立行政法人海技教育機構(JMETS)に大型練習船を寄贈する検討に入ったと発表した。
国土交通省の「海技教育機構の中期的なあり方に関する検討会」が今年4月に公表した取りまとめで、海技教育機構は不安定な財政基盤や燃料費高騰による実航海日数の減少、教員・乗組員の不足、同じ練習船に取得しようとする資格や習熟度が異なる学生が多数混乗する「多科・多人数配乗」などの課題を抱え、十分な航海訓練の実施が困難な状況にあると指摘。練習船隊や校舎の老朽化にも直面しており、抜本的な改革が必要な状況にあると総括している。
厳しい状況を打開し、JMETSの改革を後押しするため、外航海運業界として大型練習船を寄贈することを想定している。今後は大型練習船の具体的な仕様の検討や造船所との協議などを経て、2030年ごろの竣工を目指す。
JMETSは全国8校と5隻の大型練習船を擁する基幹的な船員養成機関。2001年に独法化して以降、養成規模の維持・拡大などを図り、1万人以上の船員を輩出している
JMETSの練習船
JMETSの沿革
(出典:文部科学省「商船系大学における海事人材育成に関する懇談会」資料および国土交通省「海技教育機構の中期的なあり方に関する検討会」資料を基に日本船主協会作成)
(藤原秀行)※いずれも4者提供