デロイトトーマツ、AI活用した企業の税関申告リスク分析サービス開始

デロイトトーマツ、AI活用した企業の税関申告リスク分析サービス開始

誤りの可能性を発見、追徴課税回避支援

デロイトトーマツグループは7月29日、企業の税関申告に関するリスクの分析を、AIを活用して支援するサービスの提供を開始すると発表した。

輸入申告を行った企業は、税関申告時に誤りが無いかリスクの分析を効率的に行えるため、税関による追徴課税のリスクを低減し、コンプライアンス強化も実現できると見込む。



多くの企業で関税や貿易の専門家が不足しており、日々の業務では貨物の引き取りが優先され、正確な納税申告が行われているかを十分にチェックすることが難しい状況にある。税関事後調査の件数が2020年度の715者から23年度は約5倍の3576者に増加し、新型コロナウイルス禍以前の水準に戻っている。その後も税関の事後調査は年間で約4000者を対象に実施しており、そのうち約7割の企業が輸入貨物に関する関税やその他の申告漏れを指摘され、追徴課税を受けている。

新サービスは、企業が税関申告した情報をAIが複合的に解析して、誤りの可能性を効率的・効果的に抽出し、税関による事後調査を受けて追徴課税を課される前に、修正申告し、コンプライアンス違反のリスクを減らすことを想定。


サービスの仕組みのイメージ

具体的には、企業が保有する税関への申告データ、関税関係書類、海外送金や経理関係書類のデータを異常検知システムに取り込み、申告誤りが想定される取引を、項目別に抽出・スコアリングし、一覧化。その際、関税関係法令・税関事後調査に関する専門家の知見をベースにした「ルールベースのアプローチ」や過去の申告誤りの事例やパターンを学習し、大量のデータを複合的に解析する「AI活用のアプローチ」を用いて、効率的・効果的な抽出を果たす。

複数のリスクシナリオに対応する複数のリスクスコアを統合する独自のアルゴリズムを活用。企業は、このリスク分析の結果を基に追徴リスクを定期的に確認し、リスクのある取引内容を精査することで、自主的な修正申告の検討・実施につなげられると見込む。


複合的異常検知モデルによる関税申告のリスク抽出イメージ(いずれもデロイトトーマツグループ提供)



(藤原秀行)

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