メタノール活用したクリーンエネルギー供給目指す
富士電機と三菱ガス化学は8月1日、燃料電池と、メタノールを原料とする水素生成器を統合した発電システムの共同実証に向け、検討を開始したと発表した。
産業用燃料電池に強みを持つ富士電機と、メタノールの取り扱いを得意とする三菱ガス化学がタッグを組み、水素燃料電池を幅広い地域・施設に提供できるようにしたい考え。
水素と酸素を化学反応させて電気を生み出す水素燃料電池はCO2を排出しないクリーンな発電方式として期待が高まっているが、燃料の水素を安全に貯蔵・輸送する技術の確立やコスト面の制約といった課題を抱えている。
水素を別の状態や材料に変換して貯蔵・運搬する技術・手法(キャリア)の1つ、メタノールは常温常圧下で液体のため貯蔵・輸送が容易で、既存インフラの活用が可能なこともあって、メタノールを用いて消費地で水素を生成する手法が有力な選択肢として注目されている。
メタノールから水素を生成、発電するまでを効率的かつ低コストに行える「メタノール改質型水素燃料電池システム」の商用化を目指し、2026年度中に実証を始める方向で検討する。
三菱ガス化学が手掛けている、化石燃料の代わりに再生可能エネルギーやバイオマスを原料に用いて製造する「グリーンメタノール」を利用することで、メタノール改質時に水素とともに発生する CO2をオフセット(相殺)できるとみている。
クリーンエネルギーとして、データセンターや工場などで停電時のバックアップ電源やピークカットのための発電システムなどに活用することを想定している。
(プレスリリースより引用)
国内で一般的に流通している圧縮水素(20MPa)と比較して、メタノールは同じ物流体積当たり約6倍量の水素分子を貯蔵・輸送できる(摂氏25度前提)。
(藤原秀行)