平屋マルチ3棟で構成、トータル6.3ha
三菱地所は8月20日、ベトナムで初となる物流施設が竣工したと発表した。同社としては初めての海外での自社ブランド「Logicross」(ロジクロス)ブランドでの物流施設開発となった。
ホーチミン近郊のタイニン省(旧ロンアン省)で「Logicross Nam Thuan」(ロジクロス ナムトゥアン、延床面積約6.3ha)が完成した。
同社は併せて、北部のハイフォンでも「Logicross Hai Phong」(ロジクロス ハイ フォン、延床面積約8.8ha)の建設を進めており、今年9月の完成を見込む。
両物件の総事業費は約135億円に上る。
「Logicross Nam Thuan」は環境負荷低減に配慮し、米国グリーンビルディング協会環境認証LEED BD+C Certified認証を取得済み。共用部や休憩室にバイオフィリックデザインを導入するなど、働きやすい環境の整備に腐心している。
ベトナムは東南アジアの中でも経済成長が著しく、急速な工業化を背景に物流・配送需要が大幅に増加、高機能な物流施設に対するニーズが高まっているため、同社としても初の海外進出先に選択した。
三菱地所は2010年に初めてベトナムで事業に参画、19年に現地法人をホーチミンで立ち上げ、20年にはハノイに支店を開設し、オフィスや分譲マンション開発など複数の事業を推進。これまでに1000億円を投じている。今後も新規の物流施設開発や住宅・オフィスビル開発を中心に投資を手掛けていく構え。
竣工した案件は最小約3000㎡から分割可能な平屋建てマルチテナント型物流施設3棟で構成。うち1棟には両面バース(荷捌き場)を採用したほか、クロスドッキングなどの物流オペレーションを必要とする事業者ニーズにも則した設計を取り入れている。
非常用発電機を設置し、災害・停電時のテナント企業の事業継続もサポートするほか、日系製品を積極的に採用するなど、日系デベロッパーの開発による高い品質を追求した。
【計画概要】
所在地:Plot W, Nam Thuan Industrial Park, My Hanh commune, Tay Ninh Province, Vietnam
事業シェア:三菱地所100%
敷地面積:115,390㎡
延床面積:約62,900㎡
貸付面積:約61,200㎡
構造:鉄筋コンクリート造+鉄骨造(屋根)
用途:マルチテナント型物流施設
設計施工:鹿島ベトナム
設計アドバイザリー:三菱地所設計
主な日系製品:
<屋根・壁材> Maruichi Sun Steel Joint Stock Company(JFEスチール・豊田通商・丸一鋼管の子会社),
<照明器具・電気設備資材> Panasonic, <衛生器具> LIXIL, <空調設備> DAIKIN,
<鋼製建具> Vina-Sanwa(三和シヤッター子会社), <サッシ> LIXIL, <ブレーカー> 三菱電機
着工:2024年10月
竣工:2025年6月
一方、「Logicross Hai Phong」は北部最大の国際貿易拠点、ハイフォン港エリアの物流適地で建設中。日本・韓国・中国・台湾・米国等の外資系製造業の投資が進み大規模な工業団地を多数有する「ディンブー・カットハイ経済区」の中心に位置し、主要高速道路インフラの整備により、北部最大の消費地・ハノイや中国国境にも陸路でアクセスしやすいエリア。
2棟から成り、高付加価値なオペレーション構築に寄与する高床式バースを採用。着工直前に発生した24年9月の台風11号(別名ヤギ)によって本案件が立地するハイフォン付近では多くの家屋・工場がダメージを受けたのを考慮し、着工後も柔軟に設計を再検討、同規模の風速で再シミュレーションを実施の上でガラス、建材、シャッターの耐風圧性能を当初予定からより強固なものに変更するなど工夫している。
倉庫内部には人感センサー付きLED照明や節水器具も導入し、エネルギー効率の最適化をする設計で「EDGE認証」のEDGE Advancedを取得する予定。日系製品も積極的に採用している。
【計画概要】
所在地:Land Lot CN14 , Nam Dinh Vu Non-tariff and Industrial Park (zone 1) within Dinh Vu – Cat Hai Economic Zone, Dong Hai Ward, Haiphong City,Vietnam
事業シェア:三菱地所100%
敷地面積:150,968㎡
延床面積:約88,300㎡
貸付面積:約84,400㎡
構造:鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)
用途:マルチテナント型物流施設
設計施工:フジタベトナム
主な日系製品:
<照明器具・電気設備資材> 遠藤照明, <衛生器具> TOTO, <空調設備> DAIKIN,
<シャッター> 文化シヤッター, <鋼製建具> Vina-Sanwa(三和シヤッター子会社),
<シール材(外壁雨掛かり部)> セメダイン, <オーバードア> 金剛産業
着工:2024年11月
竣工:2025年9月(予定)
※いずれの地図も記載の地方省の名前は今年7月1日施行の省市再編反映前のもの
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用