ヤマトと韓国メーカーが共同で実証実験開始、26年中の実用化目指す
ヤマト運輸は8月22日、韓国のロボットメーカーWATT(ワット)と連携し、大規模マンションで自動配送ロボットを使った宅配荷物配送自動化の実証実験を同日始めたと発表した。
まず千葉県浦安市の高層マンションで同日から9月24日まで実施するほか、東京都品川区西五反田の高層マンションでも今年10~12月にかけて実証を行う予定。高層マンション屋内の荷物配送を自動化することで、住民の利便性を高めるとともに、配送スタッフの作業負荷抑制にもつなげることを目指す。
実証実験に投入している対面型自動配送ロボット(左)と非対面(置き配)型自動配送ロボット
実証実験の概要(ヤマト運輸プレスリリースより引用)
ヤマトとWATTは2026年中に大規模マンション内で配送自動化サービスを実用化したい考えだ。今後は具体的なビジネスモデルを詰める。両社は他の地域でも実証を行うほか、将来はヤマト以外の宅配事業者や他業界の荷物配送も請け負うことを視野に入れている。
ヤマトとWATTは8月22日、浦安市の高層マンションで宅配荷物配送自動化のデモをメディアに公開した。WATTのスマート宅配ボックスと対面型自動配送ロボット、非対面(置き配)型自動配送ロボットを設置しており、配送員がスマート宅配ボックスに荷物を投入すると、システムが送り状のデータを読み取り、配送先を識別。同時に、受取人宛てにも通知メールを送信し、受取人が受け取り方法や日時を指定すれば、自動配送ロボットがスマート宅配ボックスから荷物を取り出し、エレベーターやセキュリティドアを操作しながら目的の住戸まで到達する。
対面型の自動配送ロボットは備え付けのアームで玄関のチャイムやエレベーターのボタンを押したり、セキュリティドアのセンサーを作動させたりして、人間の手を借りずに屋内へ入ることができる。
専用の宅配ボックス。左下のスペースでロボットが荷物を取り出し格納する
屋内をロボットが移動して荷物を届ける
置き配のパターン
対面で届けるパターン
ロボットアームでチャイムを押せる
マンション内で記者会見したヤマトの久保田亮宅急便部長はWATTのロボットを選択した背景について「汎用的でいろんなところにフィットしていくことが重要と考えており、(WATTのロボットは)セキュリティシステムやエレベーターの操作などで柔軟性を持って対応できる」と狙いを説明。
同社エリアマネジメント推進課の宮原陽平担当課長は、他にもさらに1カ所で実証実験を展開する準備を進めていることを明らかにした。
(藤原秀行)