電力の安定供給下支え、自社所有地を有効活用
三菱倉庫は8月25日、新たに発電所や変電所、送電線といった電力系統(電力供給網)に直接接続して電力需給のバランスを調整する「系統用蓄電池事業」に参入すると発表した。
大規模な蓄電池システムを使い、電力市場の取引を通じて電力を充放電することで、発電量が不安定な再生可能エネルギー由来の電力の変動を平準化し、電力の安定供給を下支えする。再エネ由来電力の需要が今後も見込まれ、安定供給確保の重要性が増していることに対応する。
同社の所有地(一部借地)に大型の蓄電池を設置し、電力系統に接続、電力市場(卸電力市場・需給調整市場・容量市場)で電力取引に参加する。まず神奈川県と埼玉県でスタートするほか、他にも5カ所で事業展開を計画しており、7カ所の合計容量は約700MWhを想定している。
同社は電力を蓄えたり出し入れをする、いわば電力の倉庫として、本事業を「電力倉庫 (Grid Electricity Storage) 」とネーミングし、2024年11月に商標登録したという。
データセンター対応ビルなどの運営で培った大容量の電力設備の取り扱いノウハウを生かし、施設の保守・管理を同社グループで手掛ける。事業期間は各物件20年間(蓄電池の耐用期間相当)を想定している。
事業の概要
完成イメージ(いずれもプレスリリースより引用)
案件概要
名称:港北電力倉庫(仮称)
所在地:神奈川県横浜市
敷地面積:約13,000㎡
定格出力:約85MW
定格容量:約340MWh
蓄電池種類:リチウムイオン電池
名称:児玉電力倉庫(仮称)
所在地:埼玉県本庄市
敷地面積:約900㎡
定格出力:約2MW
定格容量:約8MWh
蓄電池種類:リチウムイオン電池
合計出力:約350MWh(1日1サイクルの充放電をした場合、一般家庭約4万世帯の1日の使用量に相当)
※出典:東京電力「平均モデルの電気料金」
投資額:2カ所計 約200億円
スケジュール
2026年度中:(仮称)児玉電力倉庫着工予定
2027年度中:(仮称)児玉電力倉庫稼働開始予定
2028年度中:(仮称)港北電力倉庫着工予定
2030年度中:(仮称)港北電力倉庫稼働開始予定
(藤原秀行)