小型化で狭い罰書でも人と作業可能に、自社量産工程に導入
豊田自動織機は9月8日、工場内で製品などを搬送する2輪型搬送用人協調ロボットを開発したと発表した。同社の生産拠点量産ラインに投入、稼働を始めた。
新型ロボットは狭い通路でも作業者と共存できるコンパクトさと、万が一人と接触した場合には衝撃を逃がす特性を持たせることで、拠点内で人と同じエリアで作業に当たることを可能にしている。
現在はカーエレクトロニクス製品を生産する安城工場(愛知県安城市)のACインバーター製造ラインで、組み立て・検査後の製品を出荷工程に搬送する作業に従事。同ラインでこれまで人が行っていた搬送作業の無人化を実現した。
同社は、2輪でバランスを取りながら動くロボットを量産現場に配備したのは国内で初めてと説明している。
ACインバーターを運んでいる2輪型搬送用人協調ロボット
製造現場向けの移動式協働ロボットや搬送ロボットは、一般的に安定性を高めるために車輪の数を増やしたり機台を大きくしたりして機体が大型化する傾向があり、狭いエリアでの利用には限界があった。また、2輪ロボットは機体の小型化が可能だが、物を持ち上げた際に倒れやすくなるという課題を抱えていた。
そこで、人協調ロボットの開発にこぎ着けた。慶應義塾大学の村上俊之教授と共同開発した、重心を推定し姿勢の安定性向上につなげる制御技術により、ロボットの占有面積を人と同程度まで小さくすると同時に、自立しながらの搬送を実現。物を持ち上げる時や運ぶ時の重心の変化や倒れる力を推定し、均衡する力を車輪に掛けることで、姿勢を維持する上での優れた安定性を達成している。
さらに、万が一、人が接触した際の軽い力も検知して、減速・停止動作へと移行する制御技術も確立。各技術を組み合わせ両立することで、安城工場では幅1mほどの狭い通路でもロボットと人が安心してすれ違えるようになり、設備や工場内のレイアウトを変更することなく、搬送作業の自動化を実現したという。
今後は社内外と連携しながら重量物への対応や作業範囲の拡大など改良を進め、製造現場や物流現場における人協調ロボットの導入拡大や、物の移動の領域における技術革新を目指す。
<従来の搬送ロボットと2輪型搬送用人協調ロボットの違い>
既存搬送ロボット | 2輪ロボット | |
---|---|---|
底面積(例) | 約3,000cm2 | 1,320cm2 |
厚み(例) | 約60cm | 24cm |
高さ(例) | 約130cm | 100cm |
人との協調動作 | あり | あり |
荷役機能 | なし | あり |
不安定な姿勢を安定制御する技術の概要(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)