【現地取材】ダイフク、米国で製造・流通業向けに自動倉庫強化目指す

【現地取材】ダイフク、米国で製造・流通業向けに自動倉庫強化目指す

下代社長と寺井副社長が新工場開設発表、東京・京都に研究開発拠点立ち上げも

ダイフクは9月10日、東京都内の東京本社で、一般製造業や流通業向けの自動化システムを取り扱う「イントラロジスティクス事業」の米国における戦略と国内のグループ研究開発方針に関して記者会見した。

米インディアナ州ホバートで製造業や流通業向けの自動設備を手掛ける新工場を開設、10月に稼働を始めると発表した。2020年に設立した既存工場の隣接地に約50億円を投じ、新工場を建てた。米国でも工場や物流センターの自動化需要が旺盛なのに対応、コンベヤやソーターなどを供給し、米国事業を強化する。



併せて、東京と京都の2カ所にAIやロボットなどの先端技術と新規事業の研究開発を担う拠点を立ち上げることも公表した。同時に27年までに両拠点で約50人の技術系人材を採用し、先進的なソリューションの開発を目指す。


会見する下代社長(右)と寺井副社長

新工場は敷地面積が約17万8000㎡、建築面積が約2万5000㎡。人手不足や人件費上昇、「米国第一」を重視する米政府の通商政策による製造業への投資拡大などで、今後生産・物流現場で自動化ニーズが拡大すると見込まれることを重視。生産能力を2倍に高める。新工場自体への自動化システム導入も進め、生産効率化や納期短縮につなげる。

研究開発拠点はダイフクの東京本社近くのオフィスビル内に設ける「東京Lab」(東京都港区海岸、約1000㎡)と「京都Lab」(京都市左京区、約900㎡)。首都圏と関西圏で技術系人材の獲得強化を図る。東京Labは展示エリアや共創スペースを設け、人材交流や産業連携を促す。東京Labは26年1月、京都Labは今年11月の開設をそれぞれ予定している。

会見でダイフクの下代博社長は米国の事業について「自動倉庫が昔に比べてたくさん出るようになった。人件費のアップがコストに占める割合が非常に高くなってきており、自動化したいというニーズが高まってきている」と指摘。新工場でも自動倉庫の関連設備を近く手掛けたいとの考えを示した。

国内のイントラロジスティクス事業については「全般的に製造業を含めて全業種でもう一段自動化を進めないと今までの事業そのものを継続できなくなっている」と指摘、自動化需要がまだまだ見込めるとの見方を明らかにした。



寺井友章副社長COO(最高執行責任者)は研究開発拠点に関し「不足しているのはソフトウェアを中心した人材。京阪神と東京で採用を増やしていきたい。ロボティクスの部分は足りないピースがまだあるので、そこに特化した人材を採用していきたい」と狙いを説明した。

(藤原秀行)

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