宇宙と不動産を組み合わせ、新たなまちづくりなど相互の事業発展目指す
ロケット事業と通信衛星事業を手掛けるインターステラテクノロジズと野村不動産の両社は9月17日、資本・業務提携したと発表した。野村不動産がインターステラテクノロジズに出資したが、具体的な額や時期など詳細は開示していない。
野村不動産グループは2026年3月期~28年3月期の3カ年で、約1000億円の戦略投資を実施する予定で、テーマの1つに”新領域ビジネスの獲得”を位置付けている。衛星技術を活用したスマートシティ分野の新たな取り組みなど、宇宙領域の発展が、従来の不動産の在り方やまちづくりそのものを大きく変えるポテンシャルがあると期待し、提携に踏み切った。
(両社提供)
インターステラテクノロジズは、観測ロケットMOMOで国内民間企業単独として初めての宇宙空間到達を達成。ロケット事業では、小型人工衛星打ち上げロケットZERO開発が文部科学省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」に採択され、初回のステージゲート審査を通過した3社のうちの1社に選ばれている。今年1月にはウーブン・バイ・トヨタと資本・業務提携し、8月からはトヨタ自動車を含めた3者で、ロケットを一点物の生産から、高頻度打ち上げに耐えうる工業製品へと構造変革させるための取り組みを具体化させている。
一方の人工衛星事業は、多くの打上げ基数が必要でロケット会社が有することで強みが最大化できる、通信衛星事業に特化。米国のロケット会社SpaceX社は通信衛星によるインターネットサービス「Starlink」で事業を成長させており、インターステラテクノロジズは総務省からの委託事業や国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する宇宙戦略基金などを活用しながら、スマートフォンや自動車などの地上端末と直接つながる高速大容量のブロードバンド衛星通信の実現に向けた研究開発を進めている。
両社は今回の協業を契機に、宇宙ビジネスと不動産ビジネスの結節点を創出し、都市開発などで新規事業を実現することを目指す。
(藤原秀行)