Azoopが運送事業者100人対象の調査結果公表
Azoopは9月29日、政府が今年4月に作成を義務化した「実運送体制管理簿」に関し、元請け・一次請け以降の運送事業者100人を対象にした実態調査アンケートの結果を公表した。
制度の認知度は96%と高い水準に達した一方、実際に提出した経験のある事業者は21.1%にとどまった。
同社は「義務化から半年経過し、事業者の大半が認知はしているものの、情報共有の不足や事務作業の増加といった課題に直面しており、多くの運送事業者が実際の運用には至っていないことが分かった」との見解を示した。
実運送体制管理簿は、多重下請け構造の解消が狙いで、元請け会社には荷主の依頼業務内容がどのような委託構造を経て、誰が実際に運んだのかを記録することを義務化。紙で作成することも可能だが、エクセルなどの電子データや専用システムによる作成・保存も認めている。
同社は調査結果から、実運送体制管理簿に関し、多重下請け構造そのものが解消されたと感じる企業が約3割存在することを踏まえ、制度は一定の効果を発揮しつつあると言えると指摘。
その一方で、6割超の企業が作成に必要な情報共有を依頼元から十分に受けられておらず、提出が進んでいない現状が浮かび上がった。
また、「事務作業が増えるだけ」と捉える見方が多く、制度がまだ業界に完全に浸透し、その目的が十分に理解されているとは言えないことも示唆された。
多重下請け構造が解消されたと感じる企業を含めた85%が弊害自体は解消されていないと回答しており、同社は「構造変化と労働環境改善は必ずしも連動しないことが示唆される」と分析している。
多重下請け構造は解消されたが弊害は解消されていないと回答した中には「運賃への価格転嫁はいまだ厳しい」「労働時間が短くなったとは言い難い」という意見も見られた。
調査主体:株式会社Azoop
調査方法:インターネット調査(Googleフォームによる)
調査対象:運送業界に携わっている人
有効回答数:100件
調査期間:2025年7月1~31日
(藤原秀行)※いずれもAzoop提供