軽貨物車両の使用停止、外部への業務委託や自社内の融通でカバー方針と表明
日本郵便の小池信也社長は10月1日、全国の郵便局で集配業務の際、法定の点呼を適切に実施していなかった問題で国土交通省から軽貨物車両使用停止の行政処分を受けたのに伴い、東京都内で記者会見した。
小池社長は「このような事態を招いたことを深く反省するとともに、お客さまをはじめ関係者の皆さまにご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げる」と謝罪。軽貨物車両が使えなくなった後、同業他社への業務委託や処分対象以外の郵便局からの車両の融通などで集配業務を継続することに全力を挙げる姿勢を強調した。
また、「オペレーションの混乱はないと考えている」と語り、今後年末年始の繁忙期を含めて、集配業務を維持できると説明。ゆうパックからの徹底を検討しているといった一部のメディアの観測やSNSの報道について「(事業を続けるとの)スタンスは全く変わっていない」と強く否定した。
会見で謝罪する小池社長
ゆうパック撤退を強く否定
小池社長が記者会見するのは、今年6月の就任以来、初めて。小池社長は9月末時点で国交省から行政処分の前提となる弁明通知書を全国約440の郵便局で受け取っていることを明かし、今後もその数は増えていくとの見通しを示した。
社内調査で全国約2400の郵便局で点呼の不備があったことをつかんだのを踏まえ、新たに軽貨物車両への行政処分が出たことを想定して郵便局ごとにどのような処分を科されるかシミュレーションし、対応も検討したと明らかにした上で「オペレーション(継続)のめどは立っている」と語った。
委託先としては、これまでにも名前が出ている佐川急便や西濃運輸、CBcloudなどを想定していると述べた。
自主的に増車をして使用停止処分をカバーする考えを問われたのに対し、小池社長は「その選択肢は確かにあるが、広範にやるつもりはない」と回答し、同業他社への業務委託や社内での車両融通を基本としながらも、地方エリアで業務委託先を見つけるのが困難な場合などには検討する可能性があると含みを持たせた。
処分の元となった事案は、点呼を行っていないのに帳簿上は点呼を正しく実施したと記録していたり、法定の内容を満たしていなかったりしていたと解説。既に公表している通り、デジタル機器を導入して点呼の実施内容を正しく記録できるようにすることを着実に進めると言及した。
行政処分が業績に及ぼす影響について問われたのに対し、小池社長は「精査中につき、明確には申し上げられないが、しかるべきタイミングで説明させていただくことを考えている」と述べるにとどめた。
業務委託でコストがアップする見通しとなっている点に関しては「外部への委託が増えても、ゆうパックは宅配便の市場で価格競争力を持っている」と語るとともに、今回の行政処分を発端としたゆうパックの料金値上げは「考えていない」と断言した。
(写真・中島祐、本文・藤原秀行)