商船三井など3社、実船試験でLNG燃料船のメタン未燃焼削減率98%達成

商船三井など3社、実船試験でLNG燃料船のメタン未燃焼削減率98%達成

脱炭素策の一環、27年度以降の社会実装目指す

商船三井とカナデビア、ヤンマーパワーソリューションの3社は10月7日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「次世代船舶の開発」プロジェクトで採択された「触媒とエンジン改良によるLNG燃料船からのメタンスリップ削減技術の開発」で、今年5月に日本とオーストラリア間などの海域で実船試験を開始したと発表した。

LNG(液化天然ガス)中のメタンが燃やされないまま大気中に漏れてしまう「メタンスリップ」の削減率を、目標の70%を大きく上回る98%まで高めることに成功した。メタンはCO2と比較して温室効果が高く、海運業界などでメタンスリップ削減が強く求められているのに対応する。


実証船「REIMEI(苓明)」


船内のメタンスリップ削減システム。EGR(エンジンの排気ガスを再循環させ未燃のメタンスリップやNOxなどを低減させる技術)システム(左)とメタン酸化触媒層(いずれも商船三井提供)

同事業は2021~26年度の6年間で、メタン酸化触媒とエンジンの改良を組み合わせ、LNG(液化天然ガス)燃料船のメタンスリップ削減率を70%以上に改善し、メタンスリップ削減技術を世界に先駆けて社会実装することを目指している。

22年3月に、陸上試験でのメタンスリップ削減率93.8%(100%負荷)達成の「鑑定書」を世界に先駆けて一般財団法人日本海事協会から取得した。

その後、3社は陸上試験装置を実船用に改造し、今年5月に商船三井が運航するLNG燃料大型石炭専用船「REIMEI(苓明)」を使った実船試験を日本とオーストラリア間の海域などでスタートさせた。

実船試験は気象条件の影響を受け続ける実際の運航条件下でエンジンを使うため、機関室の環境条件やエンジンの負荷率が絶えず変化する。そうした条件下でも実用域(75%負荷)で陸上試験を上回る高い削減率を達成できたという。

今後、実船試験は26年度末まで装置全体の性能評価、触媒の耐久性に関する評価などを進め、27年度以降に社会実装を果たしたい考えだ。

(藤原秀行)

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