物流×災害時緊急輸送など「ドローンのマルチユース」実現を後押し

物流×災害時緊急輸送など「ドローンのマルチユース」実現を後押し

北海道が実証事業の公募開始、23年度冬季の実施想定

北海道は8月8日、「ドローンのマルチユース実証事業委託業務」に係る公募型プロポーザルを実施すると発表した。

物流や農業など、複数の用途でドローンを使えるようにすることでコスト低減や採算性向上につなげて実用化を後押しし、ドローンを有効活用した人口減少エリアでの物流網維持など社会課題解決を実現していきたい考え。

政府は昨年12月、有人地帯上空でドローンが補助者を置かずに目視外飛行する「レベル4」を解禁。物流などへのドローン利用が広がると見込まれている。ただ、ドローンの活用を広げるには機体の運用コスト低減が課題となっている。

道は「ドローンを単一の用途で使うのではなく、例えば平時にインフラ点検で使っているドローンを災害時に被災状況の確認などに活用するといった複数の用途にまたがる『ドローンのマルチユース』を社会的に実装していくことで、費用対効果や採算性の向上につながるほか、幅広い分野でのさらなる活用促進も期待される」との見方を示している。

公募に際し、事業者は10以上のマルチユース事例を検討することが条件となる。有識者会議を経て、その中から最低1つは2023年度の冬季に実証実験を行う予定。道は今年9月上旬をめどに提案内容を審査する計画だ。

道はマルチユースについて、平時は荷物の配送に使っているドローンを災害時は緊急物資輸送に転用するとともに配送拠点を災害時離着陸地として使ったり、普段は橋梁や建築物の点検に活用している機体で山林の遭難者を捜索したり、農薬散布用のドローンを有害鳥獣の追い払いにも充てたりすることを想定。

マルチユースの前提として、応募する事業者には「広大な土地の活用や豊かな自然環境、積雪寒冷な気象条件を意識した内容とすること」を求める方針だ。


佐川急便やイームズロボティクスなどが今年2月に東京都青梅市で公開したドローン配送の様子

(藤原秀行)

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