商船三井、西豪州ピルバラ地域で「アンモニアバンカリングハブ構想」に参画

商船三井、西豪州ピルバラ地域で「アンモニアバンカリングハブ構想」に参画

外航海運会社で世界初

商船三井は10月7日、オーストラリア西部のピルバラ地域で、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを使って製造した水素(グリーン水素)を原料に、CO2を排出せずに合成した「クリーンアンモニア」のバンカリング事業に参画すると発表した。

開発に関し、同国のエネルギー関連企業NH3 Clean Energy(エヌエイチスリー・クリーンエナジー)、Oceania Marine Energy(オセアニア・マリン・エナジー)の両社と協力の覚書を締結した。

今年6月にピルバラ港湾局が発表した、同国で初めてアンモニアを船舶に供給するバンカリングを実現するための「ピルバラ・クリーン燃料・バンカリングハブ構想」を両社と共同で進める。

商船三井は同地区のアンモニアバンカリングに外航海運会社が加わるのは世界で初めてと説明している。

西豪州ピルバラ地区は、世界最大の鉄鉱石積出港を有し、ケーブサイズバルカーの主要寄港地として知られる。

ピルバラ港湾局は、同地区での低炭素アンモニアバンカリングの実現に向け、天然ガスなどの化石燃料を原料にしてアンモニアを製造する際に生まれるCO2をCCUS(二酸化炭素の回収・利用・貯留)技術で回収・貯留し、大気への排出を実質的にゼロにした「ブルーアンモニア」供給を手掛けるNH3、バンカリング事業を行うオセアニアの両社と共同開発契約を締結。

2030年までにダンピア港・ポートヘッドランド港でのケープサイズバルカー向けバンカリング事業を開始することを目指している。


オセアニアが発注予定のアンモニアバンカリング船のCG図(商船三井提供)

覚書は、商船三井とNH3、オセアニアの3社が今後、ピルバラ地区の鉄鉱石輸送船のアンモニア燃料への移行とWAH2(ダブリュエーエイチツー)プロジェクトの実現を目指し、西豪州の鉄鉱石サプライヤーへの共同提案やアンモニアバンカリングにおける安全性などの検討を進めていくことを念頭に置いている。

商船三井は中国船舶集団青島北海造船有限公司で2026~27年に完成予定のアンモニア二元燃料ケープサイズバルカー3隻を、ベルギーのCMB.TECHと共同保有の上、商船三井が定期傭船することを計画している。

同アンモニア二元燃料ケープサイズバルカーを、西豪州と東アジアを結ぶ鉄鉱石輸送の航路に投入する見通しで、同航路で安全なアンモニアバンカリングオペレーションの確立やアンモニア調達の検討を進めている。商船三井は協業を通じてアンモニア二元燃料船を運航する立場からピルバラ地区で安全性確保・アンモニア調達の検討を加速させる。

(藤原秀行)

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