ゼロボード、Addedの物流由来温室効果ガス排出量算定事業を取得

ゼロボード、Addedの物流由来温室効果ガス排出量算定事業を取得

自社のサービスと統合、精緻化と削減支援強化図る

ゼロボードは11月4日、スタートアップのAdded(アディッド、東京都千代田区大手町)から11月1日付で企業の物流由来の温室効果ガス排出量算定事業を取得したと発表した。両社は2024年12月に業務提携していた。取得額は開示していない。

ゼロボードは同事業を、自社で展開している企業のサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量算定などの「Zeroboard」ブランドのサービスと統合し、物流由来の排出量算定の精緻化と削減支援を強化していく考え。




ゼロボードの渡慶次道隆代表取締役(左)とAddedの神垣耕一社長(ゼロボード提供)

荷主企業にとって、サプライチェーン上の間接排出のうち、物流由来の温室効果ガス排出量(Scope3のカテゴリー4と9:輸送、配送の上流および下流)は比率が高い傾向にある半面、委託先事業者からのデータ取得が進まず、算定精度の確保が難しいことが課題になっている。

同時に、物流業界は燃料コスト上昇や人手不足に加え、顧客や取引先からの環境情報開示への要請が強まっていることが対処すべきポイントとなっており、「環境対応を経営の競争力に変える」ための仕組みづくりを業界全体で進めることが急務になっている。

Addedはそうした難局を打開するため、物流に関する諸データの自動収集・算定・分析を行うSaaS「CAMOTSU」(カモツ)を展開。企業の輸送排出量の可視化・最適化の支援に強みを発揮してきた。

ゼロボードはAddedの物流算定に関する知財やソフトウェアを譲受するほか、Addedの既存顧客契約とAddedの担当メンバーを引き継ぎ、Addedの事業と自社の既存事業を統合。荷主企業へワンパッケージでサービス提供できる体制に移行する。Addedは解散するとみられる。

Scope3のカテゴリー4と9の精緻な算定を効率的に行えるようにし、改正物流効率化法や2027年3月から順次適用が始まる民間団体のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の開示基準など法令への対応、脱炭素施策の実行支援を一体的に提供する体制を確立する。



併せて、大手物流事業者と連携して物流業界全体の排出量算定を効率的に行う土台を構築することで、中小物流事業者にとっても負担なく、委託元の企業の排出量算定に必要なデータを連携させられるようにする仕組みを作っていきたい考えだ。

(藤原秀行)

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