食料配送に成功、医薬品などの取り扱いも視野
エアロネクストと子会社でドローン物流を手掛けるNEXT DELIVERYの両社は11月6日、和歌山市で、DID(人口集中地区)を含むルートで難度が高いドローンの「レベル3.5」飛行による輸送の実証を国内で初めて実施したと発表した。
レベル3.5飛行は2023年12月に政府が新設したドローンの飛行形態。無人地帯(離島や山間部等)の目視外飛行(レベル3)に関し、機上のカメラによる歩行者等の有無確認や事故に備えた損害保険の加入などの条件を満たせば、補助者や周囲に警戒を促す看板の配置といった立入管理措置を省略できる。
ドローンの運用コスト削減と業務の効率化につながり、ドローン配送の事業化を後押しできると見込まれている。NEXT DELIVERYが同年12月、初めて北海道上士幌町で行った。
今回、DID上空の飛行が実現したことで、両社は都市部からのドローンによる定常配送モデルの確立に向けて前進したとみている。
国交省が今年10月、レベル3.5飛行に関する標準マニュアルを改正し、徹底した安全対策を講じればDID上空を飛べるようになったのを受け、実証に踏み切った。

DID地区を飛行し宇都宮病院で調理された薬膳弁当を配送する物流専用ドローン”AirTruck”(宇都宮病院付近)

離陸前の物流専用ドローン”AirTruck”(写真手前)と監視カメラや警報機能を持つ安全措置のためのドローンスタンド(写真右端)

物流専用ドローン”AirTruck”の機上搭載カメラ(FPV)からのDID地区上空を飛行する映像(宇都宮病院付近)

宇都宮病院を起点としたドローン配送網の構築は、食料支援から、往診時の医薬品や検体・血液・処方薬の迅速輸送へ展開することも視野に入れている。
当日は和歌山市内の宇都宮病院(DID内)から「道の駅 四季の郷公園FOOD HUNTER PARK」へ宇都宮病院が作る地元食材を使った薬膳弁当を、片道約4.3㎞のルートを約10分かけて配送。DIDの今回のルート上における距離は250mだった。
機体はエアロネクストが開発した物流専用ドローン「AirTruck」を使用し、宇都宮病院調理施設内に位置するリモートパイロットによる自動遠隔運航により「道の駅 四季の郷公園FOOD HUNTER PARK」の駐車場に置き配し、その後ドローンは離陸側の宇都宮病院へ帰還した。

今回DIDレベル3.5で飛行したルート(Google Earthを基にNEXT DELIVERY作成)

カメラによる遠隔監視とドローンの離陸、着陸を知らせるアナウンス機能を持つエアロネクスト開発のドローンスタンド(宇都宮病院駐車場内設置)
今回の実証実験はNEXT DELIVERYが令和7年度 和歌山市スマートシティ実証実験サポート事業に採択されたことを受け、実施した。
(藤原秀行)※いずれも両社提供



