【現地取材・動画】東京港のコンテナターミナル長時間待機緩和へ「オフピーク搬出入」の実証実験

【現地取材・動画】東京港のコンテナターミナル長時間待機緩和へ「オフピーク搬出入」の実証実験

都と荷主・運送事業者15社が参加、混雑避けた時間帯利用図る

東京都は11月14日、東京港のコンテナターミナルで多くのトラックが海上コンテナ貨物の荷積み・荷降ろしで長時間の待機を強いられている問題の解決に向け、荷主企業や物流事業者と連携して混雑緩和を図る実証実験の様子をメディアに公開した。

午前中など道路とコンテナターミナルが比較的空いている時間帯に搬出入を行う「オフピーク搬出入」を促進するため、東京港や関東各地の内陸エリアに設けたデポ(中継輸送拠点)にコンテナを仮置きした上で、オフピークの時間帯にコンテナターミナルへ搬入する。



実証実験は2024年に続いて2回目。今年は参加する企業が昨年の10社から15社に増え、取り扱うコンテナも昨年の4倍程度の約400本に拡大。12月中旬までの間、オフピーク搬出入の有効性を確認する。

この日は東京港の大井コンテナふ頭の時間貸しシャーシ―プール内に設けているデポで、夜間に荷主のデポから運ばれて仮置きされていたコンテナを搬出してコンテナターミナルに運ぶ様子などを公開した。


コンテナターミナルに向けて東京港デポを出発するトラック


オフピーク搬出入の実証実験の概要(東京都ウェブサイトより引用)

今回の実証実験は荷主がクボタやコマツ、ホンダ、パナソニックオペレーショナルエクセレンス、サントリーロジスティクス、パラマウントベッド、キヤノン、三桜工業、白石工業、鶴見製作所の10社。物流事業者が吉田運送、みなと運送、鈴与、日新、青伸産業運輸の5社。

実証実験では道路の混雑が比較的少ない夜間に荷主のデポと東京港デポの間でコンテナを輸送。併せて、荷主同士が協力し、東京港と荷主デポを結ぶトラックが行き帰りの両方で実入りコンテナになるよう荷物を組み合わせることも試行している。



また、従来は荷主の拠点から東京港まで1人のドライバーが運転していたが、実証実験は荷主のデポと東京港のデポを夜間に行き交いするドライバーと、午前中に東京港のデポからコンテナターミナルまでコンテナを届けるドライバーを別々にし、労働時間の短縮と輸送の効率化を目指す。

同日、東京港デポで取材に応じたクボタ物流統括部の武山アレックス義和担当部長は「今年度は協力会社を増やしたり実施期間を拡大したりして運ぶ総量を確保している。東京港を使う立場から混雑の問題解決へオールジャパンでともに取り組んでいきたい」と強調。東京都港湾局港湾経済部の傳法聡子港湾物流営業専門課長は「シャーシの共同利用など、より午前の搬出入に取り組みやすくなる仕組みの整備を検討していきたい」と語った。

24年の実証実験はコンテナターミナルのゲート前で待機した時間が従来の平均43分から6分の1の約7分になったほか、ドライバー1人当たりの輸送コンテナ数が1日に2本から3本に増えた。運転時間も3.2時間から半分程度の1.5時間に短縮できたという。そのため、25年は参加企業を増やすなどして、より本格的に取り組むことにした。


東京港デポでメディアの質問に答える(右から)クボタ・武山担当部長、パナソニックオペレーショナルエクセレンス物流部門物流本部貿易ソリューション室ロジスティクスソリューション課の宮永貴浩氏、同社貿易・海外物流企画部国際物流契約課の藤原清氏、吉田運送の吉田孝美代表取締役と佐々木悠輸送部兼アンドコンテナ事業部部長、みなと運送の佐藤孝之つくば営業所長

(藤原秀行)

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