「中長距離のドローン物流は将来性がかなり高い」

「中長距離のドローン物流は将来性がかなり高い」

プロドローン・河野社長ら、ドライバー不足踏まえ実用化に意欲

国内随一のドローン(無人飛行機)メーカー、プロドローン(名古屋市)の河野雅一社長は9月3日、同市内の本社で行った国内初の最長約175キロメートルに及ぶ実証実験の構想発表記者会見で、トラックドライバー不足が深刻化している中、100キロメートルを超える中長距離のドローン輸送は将来性がかなり高いとの見方を示し、早期の実用化に強い意欲を示した。

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会見に臨む河野社長


実験に投入するドローンのプロトタイプ(プロドローン提供)

実験は20~21年にかけて、プロドローンが開発するガソリンエンジン搭載のドローンを使い、三重県志摩市~静岡県御前崎市の海上175キロメートルなどを自動飛行。雨や風が飛行に及ぼす影響などに関するデータを収集し、ドローン物流サービスの早期商業化につなげることを想定している。実験参加者は物流に加え、災害時の緊急物資輸送などに使うことも見込んでおり、特産品の運搬を通じた各地の地場産業支援の効果も期待している。


実験の予定ルート(プロドローン提供)※クリックで拡大

河野氏は記者会見で、海上を安全に飛行できるようにするため、パラシュートを期待に標準装備したり、万が一着水しても沈まないような対策を施したり、飛行経路などを収録するブラックボックスを回収できるようにしたりといった対策を行う考えを強調。

「長距離物流におけるドローンの耐久性、潮の影響、最適な人員配置、コストなど世界でも類を見ないリアルなデータを取得することが実証実験の目的」と解説した。

併せて、プロドローンとしてもより細かな運航管理が可能で、緊急時には自律飛行から手動へすぐに切り替えられるグランドコントロールステーション(GCS)と呼ばれる技術を確立していくことを明らかにした。

今回の実験に関連し「30キログラム程度の重量の荷物を、100キロメートルを超える拠点間で配送する中長距離のドローン物流は、将来的に速さと安全性、コスト優位が確立されると非常に有望」と指摘。「300キロメートル程度の長距離を当たり前に、安全に輸送できるようになれば新たな需要を生み出すことができる」との見解を示し、同社も機体開発などの面で貢献を図っていく姿勢を明確に示した。

会見に同席したKDDI経営戦略本部の前田大輔次世代基盤整備室長は「プロドローンさんのようなイノベーティブな企業がお持ちの最先端の技術と当社の携帯電話通信網などを組み合わせ、新たなことにどんどんチャレンジしていきたい」と語った。

実験に参加する三重県志摩市の竹内千尋市長、愛知県蒲郡市の稲葉正吉市長、静岡県御前崎市の鴨川朗副市長からも、水揚げされた新鮮な海産物をドローンで消費地などに運ぶことで商流の拡大を図りたいとの意向が示された。


ドローンの前で記念撮影に応じる(左から)KDDI・前田氏、志摩市・竹内氏、蒲郡市・稲葉氏、御前崎市・鴨川氏、プロドローン・河野氏、自民党ドローン議員連盟の今枝宗一郎座長※クリックで拡大

(藤原秀行)

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