地方の物流機能維持へ共同配送拡大も
ヤマトホールディングス(HD)の櫻井敏之社長は9月24日、東京都内で主要物流メディアとの共同会見を開催した。
席上、櫻井社長は2027年度(28年3月期)に始まる次期中期経営計画に関し、国内外の宅配などのネットワークを基盤として、法人向けビジネスの強化を引き続き柱の1つに掲げていきたいとの考えを表明。併せて、グローバル展開として、開発途上国でフォワーディングなどの事業を広めることにも意欲を見せた。
トラックドライバー不足対応の一環として、グループのナカノ商会と連携して進めている特定技能制度を活用したベトナム人ドライバーの採用・育成については、ターミナル間の長距離輸送を担当してもらうとの意図を説明。
人口減少が進む地方の物流機能維持のため、同業他社との共同配送も広げていく必要があるとの認識を示した。

共同会見に出席した櫻井社長
在庫管理や流通加工、原材料調達など「川上・川下にもっとさかのぼる」
櫻井社長は共同会見の冒頭、自らのキャリアについて紹介。国際物流部門で海運の通関から国内配送まで包括的な営業の経験を積んだり、子会社のヤマトフィナンシャルで通販の後払い決裁サービスの企画に携わったり、シンガポールで宅急便事業の立ち上げに加わったりするなど、さまざまな部署や現場を歩んできたことに言及し、「そうした経験を生かしながら、今後、宅急便だけではない事業成長にもつなげていきたい」と語った。
法人向けビジネスについては、宅急便として年間で取り扱っている22億~23億個の荷物のうち、9割が法人の顧客から出ているもので、その半分が専用トラックで集荷を担う個別対応をしていると実態を説明し、既に法人の物流ニーズの獲得事例を積み重ねている成果を強調。
「取引の基盤が大きくある中で、お客様のサプライチェーンの上流や下流にもっとさかのぼっていけば、当社のビジネスチャンスは数多く存在していると思う」と述べ、輸配送以外に在庫管理や流通加工、原材料調達といった部分でもニーズに対応していくことを強化していきたいとのスタンスを明示した。
また、中小企業などを対象に提供している、宅急便の送り状発行や請求書参照などをウェブ上で効率的に処理できる「ヤマトビジネスメンバーズ」のサービスについて、より機能を高度化していく準備を進めていることを明らかにした。
海外展開に関しては「強化していくといっても後発になるので、どの領域、どの国、どの業種・業態向けに強みを発揮していけるか、ある程度絞っていかないと勝てないと思っている。途上国で、物流がそれほど確立されてない国は数多くあるので、そういうところは積極的に参入していきたい」と説明。
自動車部品メーカーの海外進出や事業拡大に伴う現地での在庫管理なども手掛けていることを報告した上で「当社は小回りの利くロジが得意で、そうしたニーズは確実にある。そうしたところがあまり展開できていないのでもう一度強みの1つとして展開していきたい」と話した。
地域の物流については「事業者が地方から撤退しているので、共同配送の窓口を当社が務め、最後のお届けをするといったサービスの引き合いは非常に増えている。まずは当社の方で対応できる部分はさせていただこうと思っている」との決意を示した。
日本航空(JAL)グループと組んで国内で運航してきた貨物専用便(フレイター)の運航を、27年6月をめどに終了すると発表したことに対しては、長距離のトラック輸送の代替需要獲得を目指していたが、トラックの運賃よりも航空運賃の方がより激しく上昇したためメリットが薄れ、当初想定ほど収益を獲得できず、終了を決めたと説明。旅客便の貨物室(ベリー)を生かして航空輸送自体は継続したいとの意向をあらためて語った。
グループで再生可能エネルギー由来の電力調達・供給などを担うヤマトエナジーマネジメントの現況に関しては、ヤマトグループの拠点に設置した太陽光発電設備や地域の発電所で生み出した再エネ由来の電力に対し、外部の企業などから引き合いが多く寄せられていると指摘。ヤマトグループ内での活用に加え「今後は外販に切り替えていく」と語り、地域の脱炭素化支援を拡充していく姿勢をアピールした。

(藤原秀行)










