電源ドナー協会、電動フォークなどを活用
近年の災害の頻発・激甚化を受け、全国各地に存在している物流倉庫を活用し、災害が停電した際に電動フォークリフトなどのバッテリーから周辺地域に電力を無償で提供する構想の準備が進んでいる。活動を担う一般財団法人電源ドナー協会は、物流倉庫から給電することで、人工呼吸器や吸引器などの医療機器を継続して使えるようにし、在宅患者らの安全と健康維持を確保することを目指している。
同協会は2025年6月に発足。現在はバッテリー関連事業を展開しているイーコース(東京都中央区入船)や各地の物流倉庫運営会社など約10社が会員として参加している。
災害時に備えて自宅に配備する発電機やポータブルバッテリーは稼働時間に上限があり、停電が長引けば必要な家電などを使えなくなる恐れがある。また、避難所に電源があっても、大勢が避難している場合は自由に使えない可能性があるため、同協会は平時の際に準備しておき、倉庫を非常時の給電拠点としてあらかじめ確保しておくのが狙いだ。
協力を快諾した物流倉庫の運営事業者らの倉庫を同協会に登録。災害などで停電が起きた場合は倉庫にある電動フォークリフトやトラック、乗用車などのバッテリーから電力を供給できるよう装備を整えておく。
停電が起きた場合、利用したい人は事前に物流倉庫へ連絡し、受け入れ可能であればポータルブルバッテリーを持参、無償で充電して持ち帰ってもらうことを想定している。同協会は給電拠点を地図上で確認できるスマートフォン用アプリも提供しており、現状は40カ所程度を給電拠点として確保している。
同協会が25年7月に東京都内で開催した発足発表の記者会見で、代表理事を務めるイーコースの菊竹玉記社長は「災害などで停電になると、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方や人工透析を受けられている方のように、病気と闘っておられる患者の皆さんの命取りになってしまう。そうしたことがないよう、さらに電源ドナー協会の活動について情報発信をしていかなければならない」と活動の意義を強調した。

発足発表会見に参加したイーコース・菊竹氏(右から2人目)らメンバー
今年7月には、東京都葛飾区新宿の弘立倉庫で、同協会が電動フォークリフトからインバーターを使い、電球に給電して点灯させるデモを行った。集まったALS患者や支援者からは今後も同協会に協力する倉庫が広がることに期待する声が上がった。
弘立倉庫の澤地守社長は「物流業界には役に立って喜んでもらえることが嫌いではない人が多くいるので、われわれとしても協力したい。何か起きた際にはぜひ電源を使ってもらいたい」と呼び掛けた。社会を支えるインフラとして認識が広がってきた物流の新たな社会貢献の形として、物流業界内でもさらに注目度が高まりそうだ。


弘立倉庫での給電デモの様子
(藤原秀行)





