プロロジス・モダガムCEOが来日会見でアピール
プロロジスのハミード・モガダム会長兼CEO(最高経営責任者)は10月31日、東京都内で来日記者会見を行った。
モガダム氏は、事業展開している欧米やアジア、中国はともに先進的な賃貸物流施設市場で需要が強く、良好なファンダメンタルズ(基礎的条件)を維持していると分析。同時に、物流施設用地の減少などの影響で「開発は今までになく制約されている」と指摘し、米国などで用地を有効活用するための多層階の施設開発を手掛けている事例を紹介した。
また、米国で地域のNGO(非政府組織)と組み、物流施設で優秀な人材を雇用できるよう高校生への職業訓練などを手掛けていることをプレゼンテーション。日本を含むグローバル規模で活動を拡大していくことに意欲を見せた。
会見に臨むモガダム氏
中国の空室率上昇「問題視されるほどのことではない」
モガダム氏は「非常に安定した外部環境の中で事業活動を展開できている」と説明。その中でも米国に関しては「私がキャリアを始めた1983年以降でも、これほど需給が引き締まったマーケット環境は初めて見る」と述べ、物流施設需要の旺盛さを歓迎。今後も強いニーズが見込めると期待感を示した。
同時に、米国はここ数年の動きとして、物流施設開発に適した用地の減少などを踏まえ、非常に都市型の施設への需要が顕在化していると解説。シアトルで手掛けた多層階の物流施設プロジェクトは日本のチームがデザインの面で大いに貢献したと語った。
中国で経済成長鈍化が叫ばれていることについては「消費の伸びは一時ほどではないにしろ、容易に2桁ある。当社の事業は消費活動に強くひも付いており、開発事業自体への需要も強い。空室率上昇は問題視されるほどのことではない」と前向きな見方を示した。
また、「物流施設で雇用が難しくなっているのは日本に限らず、世界中でお客さまからそうした声が聞かれる。優秀な人材を獲得し、流出なく管理していくことが企業にとっては非常に重要」と言及。人の入れ替わりに関するコストが年間で250億ドル(約2兆7000億円)、再雇用に要する費用は1人当たり5000ドル(約54万円)に達するとの調査結果を踏まえ、新たな人の採用や定着支援の重要性を繰り返し指摘した。
その上で、米国で立ち上げた「コミュニティー・ワークフォース・イニシアティブ(CWI)」の活動を紹介し、現在は米国内の3都市で高校生を対象としたスキルに関するワークショップを開くなどして就労のための機会を創出できていると強調。「地域経済活性化の意味からも、プロロジスとしても非常に重要な役割と考えており、世界的に拡大していきたい、雇用問題に対しても当社ができる活動をしていきたい」と訴えた。
(藤原秀行)