国交省が審議会に道路政策の新ビジョン素案提示
国土交通省は11月20日、東京・霞が関の国土交通省内で、社会資本整備審議会 道路分科会の基本政策部会(部会長・石田東生筑波大名誉教授・特命教授)を開いた。事務局を務める国交省道路局は、道路関連政策の進むべき方向性を示すため新たに作成するビジョンの素案を提示した。
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骨子案に盛り込んでいた目指すべき社会像として「国土の災害脆弱性とインフラ老朽化を克服した安全社会」「人とモノが活発に移動し、高齢者・子ども・障害者を含む全ての人が交流・活躍する社会」「世界と人やモノが行き交う社会」の3点を維持。
実現に向けた具体策として、自動運転の普及をにらみ、ラストワンマイルの輸送で無人配送ビークルなどの移動を可能にする道路空間を整備することを盛り込むとともに、あらゆる施設や手段を共有して物を最適ルートで運ぶ「Logistics as a Service(LaaS)」を実現するとのシナリオを描いている。
国交省は同部会での審議を経て、2019年中をめどにビジョンを正式決定したい考え。
「AIなど活用した点検・診断技術活用を」
素案は、土砂災害の危険性がある区間に幅広の路肩を設けて万が一の場合に車両を通行しやすくしたり、高速道路に緊急車両用出入り口を取り入れたりして道路の耐災害性を強化することを明記した。さらに、道の駅やSA・PAに非常用発電機や食料備蓄庫、ヘリポートなどの防災機能を持たせておくことも提唱した。
また、環境負荷軽減による地球温暖化の進行阻止のため、道路で電気自動車に再生可能エネルギーで非接触型の給電機能を持たせるなどの新たな取り組みを提案。計画的な点検・修繕を図る「予防保全型メンテナンス」を広めるとともに、AI(人工知能)や計測・モニタリング技術などを生かした効率的かつ先進的な点検・診断技術を取り入れることなどもうたった。
このほか、「幹線物流を担う高速道路に専用走行空間とそれに直結するインフラ(連結・解除拠点、休憩用空間など)を整備し、トラック隊列走行を実現」することを打ち出した。
ビジョン達成のため、道路行政についても一連の業務プロセスのデジタル化を推進し「業務の効率性改善や新たな価値創出を図るべき」と指摘。交通に関するビッグデータの活用、道路管理者や地域の教育機関といった多様な主体との連携などを求めている。
(藤原秀行)