英人材サービス大手ヘイズ調査、ビッグデータアナリストなどで顕著と指摘
英人材サービス大手ヘイズグループは11月21日、世界34カ国・地域を対象とした専門性の高い分野の人材に関する需給動向などの2019年版調査結果を公表した。
日本は人材確保が容易かどうかに関する「人材ミスマッチ」の度合いが米国やフランスなどに次いでワースト2位だった。トップクラスのIT関連人材への給与が増えたことから18年の最下位からは脱したものの、企業側が望む高スキルの人材を獲得するのが依然厳しい状況にあると分析した。
東京都内で同日記者会見したヘイズ日本法人、ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンのリチャード・アードリー・マネージング・ディレクターは「人材ミスマッチの度合いが高いと海外からの投資も集まりにくくなる」と指摘。
状況の改善へ企業に対し、個人の挙げた成果に基づく報酬・昇進制度導入や継続してスキルアップに取り組める生涯学習の整備、多様な人材の活用を積極的に進めるよう提言した。
主要5カ国の人材ミスマッチの度合い(ヘイズグループ提供)※クリックで拡大
アジア太平洋では断トツで最悪
調査はヘイズグループが英調査会社のオックスフォード・エコノミクスと共同で12年から毎年実施しており、今年で8回目となる。
調査は「人材ミスマッチ」に加えて「教育の柔軟性」「労働市場への参加」「全体的な賃金(上昇)圧力」など計7項目について、各種経済指標などを基に評価。各項目を0から10の間で数値化しており、10に近いほど状況が厳しいことを示している。
日本の「人材のミスマッチ」は9・8で、18年の10・0よりはわずかに改善したが、アジア太平洋地域では断トツのワースト1位。中国(4・1)やインド(5・2)、香港(5・7)、ニュージーランド(5・8)、シンガポール(6・1)、オーストラリア(6・1)より際立っている。
特にミスマッチの度合いが高いのはビッグデータアナリスト、ドライバーアシスト機能エキスパート、AI(人工知能)技術者、IoT(モノのインターネット)技術者、サイバーセキュリティーエキスパートといった職種だと分析している。
ヘイズグループの調査では、データサイエンティストなどのIT人材への給与水準は日本が中国やシンガポールなどより低い傾向にあるという。
ヘイズ日本法人のリージョナル・ダイレクター、マイケル・クレイベン氏は民間企業の人事制度見直しなどの取り組みに加え、「政府や研究機関なども連携して政策面などの対応を進めていくべきだ」と呼び掛けた。
なお、7項目の総合スコアも日本は6・1で、調査対象国・地域の中で7番目に悪い水準だった。
会見で調査内容を説明するアードリー氏(左)とクレイベン氏
(藤原秀行)