ヘリポートや防災倉庫、自家発電の導入促進、首都直下地震などに備え
大規模災害が頻発しているのを受け、高速道路3社は管轄エリアの主要休憩施設で防災機能を強化する。復旧支援活動を行うための各種設備を敷地内に導入し、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などに見舞われた場合にも被災地へすみやかに救援物資などを届けられる体制を整えるのが狙い。
国土交通省が2019年9月に策定した「高速道路における安全・安心基本計画」に基づき、3社は同12月に事業会社として同計画に掲げられた目標を達成するための施策を盛り込んだ「実施計画」を相次ぎ発表。同計画の中で防災機能強化の方向性を明示している。
フードコートを拠点本部として活用想定も
東日本高速道路(NEXCO東日本)は20年度までに防災機能を強化する意向を表明。首都圏近郊の東北道・蓮田SA、関越道・高坂SA、常磐道の守谷SA、東関道の酒々井PAの計4カ所で「防災機能エリア」を稼働させる。このうち蓮田と守谷は既に整備済みで、現在は高坂、酒々井で整備を進めている。
蓮田SAを例に挙げると、同エリアでは夜間照明設備などを設けたヘリポートのほか、駐車場利用時の規制材や夜間照明、毛布などを備蓄しておける防災倉庫、自家発電設備、井戸といった設備を活用。併せて、フードコートを防災拠点本部として活用することを想定している。
併せて、約90カ所で必要最低限の支援機能を持たせた「災害時支援エリア」を設置する計画だ。
中日本高速道路(NEXCO中日本)は防災拠点に定められた約100カ所の休憩施設で、自家発電設備の72時間化・軽油化を図るとともに、利用者の救援物資の確実な配備などを計画的に進めると説明している。エリアの道の駅とも連携していく方針だ。
西日本高速道路(NEXCO西日本)も、広域進出拠点や進出拠点として定められた119カ所で、72時間対応可能な自家発電設備を採用。断水に備えて湿塩散布車タンク内用の給水袋を整備するほか、237カ所の休憩施設にある防災備蓄倉庫の内容を拡充したり、自衛隊や DMAT(災害派遣医療チーム)などの関係機関が進出拠点として有効に活用できるよう、定期的に現地の休憩施設で訓練を実施し連携強化を図ったりすることも掲げている。
(藤原秀行)