【独自取材】テラドローン、20年度中にもドローン物流実用化目指す

【独自取材】テラドローン、20年度中にもドローン物流実用化目指す

JALと兵庫・養父で地域課題解決の実験、農業などへの応用も視野

ドローン(無人飛行機)の開発・運用を手掛けるスタートアップ企業のテラドローンは、ドローンを活用した物流を2020年度中にも実用化する方向で取り組んでいる。同社は日本航空(JAL)と共同で今春、兵庫県養父市で小型固定翼ドローンを用いた災害応急支援物資の輸送に関する実証実験を始める予定。

同市で早期にドローン物流を実現することを目指すほか、他の地方自治体などとも幅広く連携し、人手不足をはじめ地域が抱える諸課題の解決にドローンの活用を通して貢献していきたい考えだ。


養父市の実験に投入するドローンのイメージ(テラドローン提供)

テラドローンは既に国内外でドローンを活用した測量やインフラ設備点検などを積極的に展開している。物流に関しても、昨年8月に三菱地所と連携し、東京・丸の内の高層ビル街で無人航空機管制システム(UTM)を用いてドローンを自律飛行させる実験を実施。同12月には中国のドローン関連企業アントワーク(迅蚁)と資本・業務提携し、テラドローンがアントワークのドローン物流システムに関する日本国内の独占代理店として契約するなど、将来のドローン物流展開に向け技術開発や地盤整備といった布石を着実に打っている。

養父市の実験はテラドローンが持つUTMなどの技術とJALの運航管理や安全確保などに関して蓄積してきた知見を組み合わせ、災害発生時などに輸送が困難となる中山間地域にドローンで必要な物資を運べるかどうかを検証する狙いがある。

養父市は地域を限定して規制緩和し、経済活性化などを図る「国家戦略特区」の枠組みを活用し、農業への新規参入促進や過疎地域での移動手段確立などに取り組んでいる。テラドローンはこうした事情を踏まえ、緊急時の活用に加えてパートナーのJALや地元自治体、地域住民らのニーズを押さえながら、必要に応じて定期的な物資輸送や農業への活用などについても柔軟に対応していく構えだ。

(藤原秀行)

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