日経平均昨年来高値の1月から比率拡大し8割に、新型コロナが直撃
ロジビズ・オンラインが東京証券取引所に上場する物流関連企業の株価を調べたところ、1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを示す「株価純資産倍率(PBR)」が1倍を下回った企業が3月6日時点で80・0%に上ったことが明らかになった。
一般的にPBRはその企業の資産と比べて株が割安になっているのかどうかを判断する指標として用いられている。1倍を下回ると、企業が仮に事業活動を止めて解散する場合に株主へ1株当たり戻ってくる資金を表す「解散価値」を割り込むこととなり、株価が割安になっているとみなされる。
PBRが1を下回った物流関連企業は、日経平均株価が昨年来高値を付けた1月20日の時点から7社増え、比率が70・1%から約10ポイント拡大している。物流関連セクターはもともと解散価値を下回る割安感の強い株価となっている企業が多かったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い世界的な景気減速への警戒感が強まっており、業績予想で増収増益を見込む物流関連企業であっても株価の面で直撃を受けている格好だ。
調査は東証の第1部、第2部、ジャスダックの各市場に上場している海運業、倉庫・運輸関連業、陸運業を対象に実施。旅客輸送がメーンの鉄道会社やバス会社、航空会社などは除外した。3月6日に株式の取引が成立せず株価が付かなかった企業も対象から外した。PBRを算出する上で、各企業が開示している直近の1株当たり純資産額を用いたほか、1月20日と3月6日のそれぞれの終値を採用した。
株価は平均18%下落
対象となった75社のうち、PBRが1を割り込んだのは60社で、1月20日時点の53社から7社増加した。この7社は日本通運、センコーグループホールディングス、近鉄エクスプレス、三井倉庫ホールディングス、ハマキョウレックス、ヒガシトゥエンティワン、東海汽船となっている。
3月6日時点でPBRが1を超えているのは日立物流、ヤマトホールディングス、SGホールディングス、SBSホールディングス、トランコム、山九、川崎汽船、遠州トラックなど15社にとどまる。
1月20日と3月6日の株価を比較したところ、3月6日の方が上昇していたのは75社のうち、わずか1社にとどまった。3月6日は日経平均株価が前日から579円安の2万749円まで下落しており、市場の地合いの悪さが物流企業にも影響を及ぼしている。1月20日から3月6日への物流関連企業の株価下落割合は加重平均で約18%となった。
PBRが1を割り込んでいる主な物流企業
PBR 株価下落率%(1月20日→3月6日)
日本通運 0・87 23・6
センコーグループホールディングス 0・97 16・1
近鉄エクスプレス 0・97 17・1
三井倉庫ホールディングス 0・79 23・3
ハマキョウレックス 0・90 24・9
(藤原秀行)