【新型ウイルス】政府の景気判断、6年9カ月ぶり「回復」消え腰折れ鮮明に

【新型ウイルス】政府の景気判断、6年9カ月ぶり「回復」消え腰折れ鮮明に

コロナで震災以来の「厳しい状況」と強い警戒感

政府は3月26日、3月の月例経済報告をまとめた。景気の基調判断は「新型コロナウイルス感染症の影響により、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」と表明。2月の「輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状況が続いているものの、緩やかに回復している」から3カ月ぶりに引き下げた。

感染症が世界規模で広がり、日本国内でも個人消費や企業収益に悪影響が広がっている状況を考慮した。基調判断から「回復」の文言が消えるのは2013年6月以来、6年9カ月ぶり。「厳しい」と強い警戒感を示す表現を採用するのは東日本大震災後の12年7月以来となる。

第2次安倍内閣がスタートした当時の12年末に拡大局面が始まったと政府が認定した日本の景気は“コロナショック”で腰折れしたことが鮮明となった。ただ、同報告の中では、明確に景気後退入りしたとの見解は示していない。今後の経済統計の内容などによっては、4月の月例経済報告で基調判断をさらに引き下げる可能性がある。

個人消費は「弱い動き」

月例経済報告は政府が毎月、主要な経済統計や国内外の環境変化などを踏まえ、公式な見解として景気の基調判断を表明している。3月は先行きに関しても「感染症の影響による厳しい状況が続くと見込まれる」と指摘。感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクや金融資本市場の変動などにも注視する必要があると強調した。

各項目では、個人消費は2月の「持ち直している」から「感染症の影響により、このところ弱い動きとなっている」に下方修正。設備投資は「緩やかな増加傾向にあるものの、一部に弱さがみられる」から「おおむね横ばいとなっている」、企業の業況判断も「製造業を中心に引き続き慎重さが増している」から「感染症の影響により、悪化している」とするなど、より厳しい表現とした項目が目立った。

(藤原秀行)

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