「置き配」実施、EC事業者の完了証明写真送付や事前の時間通知など実例紹介

「置き配」実施、EC事業者の完了証明写真送付や事前の時間通知など実例紹介

国交・経産省が普及後押しへ留意ポイント集を公表

国土交通、経済産業の両省は3月31日、宅配荷物を不在時でも自宅玄関前などで受け取ることができる「置き配」の普及に向け、実施する上でEC事業者や運送事業者、通販ユーザーらが留意すべきポイント集を公表した。

両省が宅配便の再配達削減へ2019年以降、EC事業者らと開催してきた「置き配研究会」の議論内容を反映。置き配の利用を望む消費者は多いものの、玄関先などに置かれた商品の盗難や破損、外装表示からの個人情報流出といったトラブルを懸念する向きも多いと指摘。運送事業者がトラブルで損害賠償責任を負う事態にならないよう、指定された場所への配達が完了したことを証明するための写真を撮影、購入者に送信するなどの対策を講じている実例を紹介、参考にするようアドバイスしている。

マンションの管理組合総会で事前に決議取り付け

ポイント集は、置き配を実施する上での課題として、
①運送事業者の債務が完了し、損害賠償を請求されないような商品の引き渡し方法の確立
②消費者保護と紛争リスク低減の観点から関係者が事前に置き配を実施することと、どのような引き渡し方をするか合意の確立
③マンション共用部でトラブルにならない実施方法の確立
――を列挙。

①については、悪天候など明らかに引き渡しに適していない状態にもかかわらず置き配をすると、運送事業者が注意を怠ったとみなされる可能性がある点や、配達完了の事実を確定する証拠を確保しにくい点を考慮。Yperが展開している置き配専用バッグ「OKIPPA」で荷物を守っていることや、ナスタが手掛ける戸建て用宅配ボックスを使っていることを紹介している。

また、アマゾンジャパンが荷物を指定場所に置いたところを撮影した写真を消費者に送っていたり、オイシックス・ラ・大地や楽天が置き配の場合でも事前におおよその配達時間を通知しておいたりする取り組みも報告、対応を検討するよう提示している。

②は、やはりアマゾンジャパンがウェブサイトで置き配のリスクを周知するとともに、配送状況を知らせるサイトで商品が配送済みと表示しているのに届いていない場合は状況を確認の上、商品の再送や返金に応じていることを説明していることに触れている。

また、高額な商品は置き配の対象外としている楽天や、置き配の問題発生回避へセキュリティーサービスを活用しようとしている綜合警備保障や、損害保険で荷物の盗難・紛失リスクをサポートする東京海上日動火災保険の取り組みにも言及、リスク回避へさまざまな対応をするようアドバイスしている。

③に関しては、スタートアップ企業のビットキーがスマートロックの導入と置き配の実施について、対象のマンションの管理組合総会で事前に決議を取り付けていることや、三菱地所とフルタイムシステムが各住戸の玄関前に配置する宅配ボックスを共同開発したことなどに触れ、事業者側の対応を促している。

同時に、置き配を利用するマンション住民が共用部分に関するルールを事前に確認しておくことが望ましいとの見解を示している。

(藤原秀行)

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