大企業は6年半ぶりのマイナスに
日本銀行が4月1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業が大企業で前回調査(2019年12月)から24ポイント低下しマイナス7、中堅企業が28ポイント低下しマイナス17、中小企業も28ポイント低下のマイナス10となった。
前回調査からのDIの変動幅は、大企業と中堅企業、中小企業のいずれもリーマンショック後の09年3月(低下幅は大企業39ポイント、中堅企業22ポイント、中小企業26ポイント)以来、11年ぶりの急激な落ち込みとなった。新型コロナウイルスの感染拡大で景況が急速に悪くなっていることをうかがわせた。
先行きに関しては大企業がマイナス11、中堅企業がマイナス27、中小企業がマイナス28で、いずれも現状からさらに悪化するとの見方が大勢を占めていることを浮き彫りにした。
ただ、今回の調査は運輸・郵便業を含む全企業の7割が3月11日時点で回答を終えており、東京オリンピック・パラリンピックの開催1年延期などの影響を十分反映していないとみられる。次回の調査ではさらにDIが悪化する懸念も残る。
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中堅企業で8年9カ月ぶりの低水準
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出している。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9653社に調査協力を要請、99・0%が回答した。
運輸・郵便業でDIがマイナスとなったのは大企業で2013年9月(マイナス2)以来、6年半ぶり、中堅企業が14年9月(マイナス1)以来、5年半ぶり、中小企業が14年12月以来、5年3カ月ぶり。
水準自体は大企業が13年3月(マイナス10)以来、7年ぶり、中堅企業が11年6月(マイナス25)以来、8年9カ月ぶり、中小企業が13年9月(マイナス13)以来、6年半ぶりの低水準となった。
回答企業全体を見ると、大企業製造業の業況判断DIはマイナス8となり、5四半期連続で悪化。前回の19年12月調査時(ゼロ)から8ポイント低下した。
7年ぶりにマイナス圏まで落ち込み、前回調査からの悪化幅も7年3カ月ぶりの大きさを記録した。先行きに関してもマイナス11となっており、現状よりさらに悪化すると見る向きが多いことをうかがわせた。
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企業規模を問わず、製造業と非製造業の両方で景況感が急速に悪くなっており、新型コロナウイルスの感染拡大で国内外の経済が打撃を受けていることが企業心理の大きな重しとなっている実態を如実に示した格好だ。
(藤原秀行)