荷主との交渉などに活用想定、ドライバーの労働環境向上後押し目指す
国土交通相の諮問機関「運輸審議会」は4月14日、2018年に成立した改正貨物自動車運送事業法が打ち出している「トラックの標準的運賃の告示制度」で国土交通省が策定した運賃案に関し、適当とする答申を出した。
今年2月に赤羽一嘉国交相が運賃案を同審議会に諮問したのを受け、4月2日に公聴会を開いて全日本トラック協会から意見を聞くなど議論を重ねてきた。答申は告示する運賃案に関し「一般貨物自動車運送事業の能率的な経営の下における適正な原価および適正な利潤を基準としたものである」との判断を示した。国交省は答申を踏まえ、4月中にも正式に標準的運賃として告示する予定。
答申は併せて国交相に対し、トラック事業者に告示する運賃の算出方法などを分かりやすく説明することや、告示の効果が下請け事業者やドライバーにも還元されるよう取り組みを講じること、荷主の理解と協力を得られるよう働き掛けることなどを求めている。
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同法は標準的運賃の告示制度を23年度末までの時限措置と設定。告示された運賃自体に法的な拘束力はないが、必要なコストを賄うだけの収益を運送事業者が得られる根拠の1つとして国が明示し、運送事業者が荷主企業との運賃交渉する上での材料として活用してもらうことなどを想定。運送業界の経営改善とトラックドライバーの労働環境向上につなげたい考えだ。
国交省の運賃案は、全国の9運輸局と沖縄総合事務局の計10地域ごとに距離制と時間制の運賃表(タリフ)を作成。いずれも車種は2トン(小型車)、4トン(中型車)、10トン(大型車)、20トン(トレーラー)の4つを設定している。併せて、運賃の休日や深夜・早朝などの割増率、待機時間料、積込料なども盛り込んでいる。
4月2日の公聴会の様子
(藤原秀行)
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