ネット通販利用増で投資家が宅配などの伸びに期待か
ロジビズ・オンラインが東京証券取引所に上場している主要物流関連企業の株価の推移を集計した結果、3月中に付けた年初来安値から5月1日の終値時点までで平均で3割程度上昇していることが明らかになった。
新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な経済情勢悪化への懸念が広がり、3月に入って業種を問わず大きく値を下げたが、その後は市場が冷静さを取り戻すのに伴い、物流関連企業も値を戻していることを示した。特に宅配などを手掛ける陸運系企業が持ち直している傾向が目立っており、外出自粛によるインターネット通販の利用増加などで投資家の期待を集めていることが背景にありそうだ。
ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が現状では正確に見積もることが困難なことを理由に、2021年3月期の業績予想を「未定」とする企業が相次いでおり、物流に関してもBtoBの分野は取扱数量の落ち込みが懸念されている。今後も安定して株価が回復し、安定的に推移していくかどうかははっきりとは見通しづらいのが実情だ。
トップの丸和運輸機関は底値から2倍に
調査は東証の1部、2部、ジャスダックの各市場に上場している企業のうち、3月の取引時間中に年初来安値を記録した73社を対象に行った。このうち、年初来安値を3月13日に記録したのが40社、3月17日だったのが23社で、この両日で全体の8割強を占めている。
73社全体の平均上昇率は31・3%に達した。上昇率の上位10社を見ると、東証の区分で「陸運業」にカウントされているのが7社、「倉庫・運輸関連業」が3社だった。
トップはアマゾンなどECの宅配を幅広く手掛け、生協事業なども展開している丸和運輸機関で、年初来安値の1591円から3205円へ約2・01倍上がった。2位もアマゾンの幹線輸送などを担っている遠州トラックで1611円から3225円へ約2倍上昇した。
陸運業ではこのほか、トナミホールディングスやSGホールディングス、C&Fロジホールディングス、SBSホールディングス、ヤマトホールディングスがランクインした。倉庫業は飲料系などに強みを持つ澁澤倉庫と、中部エリアを軸に全国で事業展開する日本トランスシティが入った。
業種別の平均上昇率で見ても、陸運業29社は36・8%、海運業13社は24・5%、倉庫・運輸関連業30社は28・5%となっており、陸運業の持ち直し傾向が強いことがうかがえる。
東証上場物流関連企業の株価上昇率上位10社(取引期間中の年初来安値と5月1日の終値を比べた割合)
年初来安値比上昇率 | |
---|---|
1 丸和運輸機関 | 101.4% |
2 遠州トラック | 100.2% |
3 大運 | 63.5% |
4 トナミホールディングス | 60.0% |
5 SGホールディングス | 54.5% |
6 C&Fロジホールディングス | 49.7% |
7 澁澤倉庫 | 48.2% |
7 日本トランスシティ | 48.2% |
9 SBSホールディングス | 46.4% |
10 ヤマトホールディングス | 45.4% |
(藤原秀行)