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オンライン会議中に子ども乱入しても「お互いさまで許容しよう!」

オンライン会議中に子ども乱入しても「お互いさまで許容しよう!」

CoralCapitalオンラインセミナー、スタートアップ企業トップがリモートワークで意義やアドバイス紹介

独立系のベンチャーキャピタルCoralCapital(東京)はこのほど、新型コロナウイルスの感染拡大で導入が広がっているリモートワークに関し、スタートアップ企業のトップらを招いたオンラインセミナーを開催した。

登壇者は自身の経験を踏まえ、国内外の場所を問わずどこにいる人とも一緒に働くことができるといった仕事上のメリットに言及。「非常にビッグチャンス」と指摘した。さらに、リモートワークを有効に機能させる上で生かせるさまざまなアドバイスを紹介し、今後積極的にリモートワークを活用していくよう提案した。

日本はまだ米国の20年以上前の水準

冒頭、CoralCapitalの西村賢パートナー兼編集長が国内外のリモートワークに関する実態などを説明。米国は1996年から2016年にかけてリモートワークを取り入れる企業の割合が3倍に高まり、100%フルリモートの比率も拡大している一方、日本は国土交通省の調査によれば、18年時点でも米国の1996年当時の水準にとどまっていることなどを明らかにした。

また、中国のオンライン旅行代理店が米スタンフォード大と共同調査したところ、リモートワークにした方が生産性は良くなったとの結果が出た一方、他の業界では実際のオフィスに集まって仕事をした方が効率は上がったというような声もあることに言及した。

続いて、法人向けチャットサービス「スラック」を展開する米スラック・テクノロジーズの日本法人からシニアテクノロジーストラテジストの溝口宗太郎氏が参加。社内のコミュニケーションを促進するため、「donut(ドーナツ)」と呼ばれるbotがランダムでスタッフを組み合わせ、交流を図る機会を自動的に設定したり、あえてオンライン上に雑談専用のチャンネルを設けて仕事以外の話ができるよう配慮したりといった工夫をしていることを報告した。

スタッフ全員にアプリ経由でモーニングコール

この後はパネルトークを開催し、溝口氏に加えてデジタル身分証明書アプリなどを手掛けるTRUSTDOCKの千葉孝浩代表取締役、スマートフォン向けアプリを活用した迅速な中古不動産売買を担うすむたすの角高広代表取締役が参加。CoralCapitalからは西村氏と、モデレーターとして代表兼創業パートナーのジェームズ・ライニー氏が加わった。


リモートワークの課題をどう乗り越えるか、貴重な話が聞かれた(CoralCapital資料より引用・クリックで拡大)

リモートワークを行う上で直面する課題に関し、日々の業務の中でどのように対応しているかについて参加者が解説。セキュリティーの面では、千葉氏がデータを扱うことができる権限をメンバーごとに細かく分けて設定することなどが重要とアピール。角氏もパスワードは権限を持つ数人のみが包括的に管理する方式を採用していることに触れた。どうしても出社しなければいけない場合については、溝口氏は混雑する時間帯を避けて出退勤するよう推奨していることを紹介した。

自宅で仕事をする際、いかにモチベーションを高めるかについて質問されたのに対し、千葉氏はスラックの機能を活用してスタッフ全員にモーニングコールをしていると説明。スタッフの出退勤時間がばらばらという角氏はリモートカメラを離席する際はオフにし、それ以外はずっとオンにするというルールを設定することで、オフィスで仕事をしているよりもむしろ他のスタッフの仕事ぶりを見ている感覚になると語った。併せて、朝と夕方に社内のチーム単位でミーティングを実施しており、リモートでも顏を合わせるよう工夫していることに言及した。

溝口氏は昼食時にZoom経由でスタッフ同士が雑談しながらランチをしたり、新たに社内交流のためのイベントを夕方に行ったりしていると明かした。

どうしても業務上、顧客などとの対面が必要になる場合に関しては、角氏は不動産売買の契約時などは対面が法律で義務付けられ、オンラインでやりようがないので「考えても仕方のないこと。迷わずオフライン(対面)で実施している」と指摘。基本はオンラインだが、必要な2時間だけ出社するといったように、柔軟性を持って仕事の進め方を選べるようにすることが大事と強調した。

ライニー氏はベンチャーキャピタルという業務の性格上、投資先との積極的な対話が重要だが、新型コロナウイルスの感染が問題となっている現状ではオンラインで細かく情報把握できるよう意識を変革していくべきだとの問題意識を披露した。

時にはクローゼットやベランダでお仕事

自宅でリモートワークをしている場合、子どもがミーティング中に近寄ってくるなど、どうしても家族との付き合い方や距離の取り方に悩むケースが増えている。その点に関して西村氏は周囲の音を気にしなくて済むよう、時にクローゼットで仕事をしていることなどを紹介。千葉氏は自宅のリビングにホワイトボードを置き、オンライン会議の際は邪魔しないようメッセージを書いて子どもに注意喚起したり、短時間の場合は他の家族が入ってこないようベランダで行ったりしていることを明らかにした。

角氏は、子どもが会議の画面に写り込んでも気にしないなど、社内で「お互いさまで許容し合う」ようにしていると話した。

仕事中の気持ちの切り替えに関しては、西村氏は最寄り駅まで往復してから仕事を始める独自のやり方を紹介。「きちんと着替えてネクタイを締める。運動不足解消にもなるし、10分程度のウォーキングが思考の切り替えになる」と述べた。

溝口氏は毎朝、子どもを保育園に送ることで気持ちが仕事モードに切り替わると解説。千葉氏は仕事をする際、襟付きのシャツを着るという独自ルールを設定していると語った。

会議中に自分の表情を確認できるのはメリット

自分自身の時間を確保するため、長時間労働にならない対応としては、溝口氏が自社のCEO(最高経営責任者)がメディア取材に対して答えた内容として、1日の中で3~4時間集中して働き、後は家族のケアに費やすというやり方もあると指摘。角氏は、リモートワークをしている時間中はPCなどのカメラをオンに、それ以外はオフに切り替えることで、オンの時間を働いた時間としてカウントできるようにすることを提案した。

リモートワークのメリットを尋ねられたのに対し、千葉氏はウェブ会議で商談などをしている際、自分自身の表情を確認できることを挙げ、「疲れた顔をしているな、などと自身をチェックできる。コミュニケーション力を磨く上で非常にいい機会になっている」と前向きな見方を示した。

溝口氏は、自分がやりたい仕事に没頭できたり、短時間の昼寝を取って集中力を取り戻せたりできる点を挙げた。また、営業も非対面でできる部分が明らかになるなど「業務の棚卸しになる。業務フローを見直す上でいいきっかけになっている」との持論を展開した。角氏は出退勤の時間を削減できるとともに、世界中どこに住んでいる人とも仲間として働けるようになると語り、「まさに自分にとってもビッグチャンス」と歓迎した。

(藤原秀行)※写真はイメージ

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