事業中断リスクへの備え、「調達先・仕入れ先分散」など物流・サプライチェーン関連の選択割合が上昇

事業中断リスクへの備え、「調達先・仕入れ先分散」など物流・サプライチェーン関連の選択割合が上昇

帝国データBCP意識調査、相次ぐ災害やコロナで関心度アップか

帝国データバンクは6月11日、事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査結果を公表した。

物流・倉庫業を含む全業種を対象に、事業中断リスクに備えて実施しているか、検討している内容を聞いたところ、「調達先・仕入れ先の分散」など、物流やサプライチェーン関連の項目が総じて1年前の前回調査時から選択した割合が上昇した。相次ぐ災害や新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーンの混乱を受け、各企業の関心度がアップしていることをうかがわせた。

調査は2016年から毎年実施しており、5回目となる今年は5月18~31日、全国2万3675社を対象に行い、有効回答は50・6%の1万1979社から得た。運輸・倉庫業は508社だった。

BCPを策定しているか、現在策定中、もしくは策定を検討していると答えた6335社に、事業中断リスクに備えた対応を尋ねた結果(複数回答)、「従業員の安否確認手段の整備」がトップで67・3%、「情報システムのバックアップ」が52・6%、「緊急時の指揮・命令系統の構築」が46・5%だったが、いずれも昨年5月時の調査からは割合が下がった。

一方、「調達先・仕入れ先の分散」は38・0%で、昨年5月時点から4・5ポイント上昇したほか、「代替生産先・仕入れ先・業務委託先・販売場所の確保」が21・4%で2・8ポイント上昇、「生産・物流拠点の分散」が21・0%で0・3ポイント上昇、「物流手段の複雑化」が16・7%で1・6ポイント上昇、「予備在庫の確保」が14・6%で2・8ポイント上昇と、物流やサプライチェーンに関する項目を選ぶ割合が総じて上昇した。


事業中断リスクに備えた対応(帝国データバンク調査資料より引用)※クリックで拡大

運輸・倉庫業は7割が「自然災害」「感染症」を想定

BCPを策定する意向があると表明した企業のうち、想定しているリスクは運輸・倉庫業で自然災害と感染症がそれぞれ7割を超え、全体の平均を上回った。特に感染症は主要9業種(「その他」を除く)の中で最も割合が高かった。相次ぐ自然災害や最近の新型コロナウイルス感染拡大を受け、リスクへの対応の重要性を意識する向きが強まっていることをうかがわせた。

ただ、実際にBCPを策定している運輸・倉庫業の割合は15・9%にとどまり、主要9業種の中で4番目に低かった。リスクを懸念するだけでなく、実際にBCP策定という行動へ移すことが運輸・倉庫業にはあらためて強く求められそうだ。

想定しているリスクの上位3項目を業界別に見たところ、運輸・倉庫業はトップが「自然災害」で75・4%、次いで「感染症」が74・7%、「取引先の倒産」が37・2%だった。

全体の平均は順に70・9%、69・2%、39・0%で、運輸・倉庫業は自然災害も9業種の中で4番目に多かった。

半面、BCPを策定している割合はトップの「金融」(42・1%)の半分以下で、「農・林・水産」(28・6%)や「製造」(19・6%)、「サービス」(18・6%)、「小売」(17・2%)も下回った。

(藤原秀行)

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