【新型ウイルス】倉庫の面積や拠点数「増加」回答割合が19年より減少、コロナが重しか

【新型ウイルス】倉庫の面積や拠点数「増加」回答割合が19年より減少、コロナが重しか

CBREの物流施設テナント企業意識調査、中長期的影響は「在庫積み増し」トップに

シービーアールイー(CBRE)は6月16日、物流施設利用に関するテナント企業の意識調査結果を取りまとめた。

倉庫の移転・増設などの計画があると回答した企業の6割超が面積を増やすと答えるなど、テナント企業の倉庫拡張意欲が依然強いことが浮き彫りとなった。ただ、2019年時点の調査結果よりは割合が減少しており、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で先行きに慎重な見方が広がった可能性がある。

また、今回の調査は政府が緊急事態宣言を発令する前の3月4~19日に実施したため、その後の経済情勢悪化でさらに慎重さが強まっていることも予想される。

新型コロナウイルスの感染拡大が及ぼす中長期的影響としては、「不測の事態に備えた在庫量の積み増し」を挙げたのが3割程度に上るなど、在庫量増加や自動化加速を予想する向きが目立った。

調査は日本で物流施設を利用している物流業と荷主企業を対象にインターネット経由で行い、物流業242社、荷主企業94社の計336社から有効回答を得た。

「倉庫もソーシャルディスタンス考慮で自動化」

倉庫の新設・移転などの計画の内訳を見ると、面積について「増やす」と答えたのが67%で、「同等」(16%)や「減らす」(1%)、「検討中」(16%)を大きく引き離した。また、拠点数に関しても「増やす」が52%で過半数を占め、「同等」(19%)や「減らす」(11%)、「検討中」(18%)との差が際立った。

ただ、面積を「増やす」は19年調査時の78%から11ポイント、拠点数も「増やす」が63%から11ポイントそれぞれ減少した。


計画の内訳(以下、いずれもCBRE資料より引用・クリックで拡大)

新型コロナウイルスの感染拡大による中長期的な影響としては、「不測の事態に備えて在庫量の積み増し」が物流業で3割超、荷主企業も3割弱に上りトップを占めた。2番目に多かったのが「庫内作業の自動化が加速(人的依存度を減らす)」で、物流業の15%超、荷主企業の20%弱が選択した。「特に変化はない」が物流業、荷主企業で2割前後あった。

CBREは「従業員の健康を守りながら事業を継続するという観点から、庫内におけるソーシャルディスタンスを考慮するテナントも増えるだろう。この点においても、自動化が貢献すると考えられる」との見解を示した。


新型コロナウイルスの感染拡大の中長期的影響

倉庫の新設・移転の戦略では、立地について「物流集積地(賃料が中位)」が50%で、19年の52%とほぼ変わらず、最も重視されていることを示した。半面、「都市部、ラストマイル適地(賃料が最高)」を選んだ企業も19年はゼロだったのが20年は10%存在しており、ラストワンマイルに適した都心部に着目する向きが増えていることを示唆した。

規模に関しては、20年は5000~1万坪を希望する割合が19年から4ポイント低下し11%となった半面、1000坪未満を志向する企業は5ポイント拡大し18%で、都心部の小規模な施設のニーズが高まっていることをうかがわせた。最も多いのは1000坪~3000坪、その次が3000~5000坪のレンジとの傾向は19年、20年とも同じだった。


倉庫の新設・移転の戦略

(藤原秀行)

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