製造業や運輸・郵便業、4カ月前と同じく1割以下にとどまる
政府が物流事業者や荷主企業と連携してトラックドライバーの就労環境改善などを目指す「ホワイト物流」推進運動に賛同した企業・組合・団体が提出した自主行動宣言は今年5月末時点で978に上っている。6月中には1000の大台に到達、着実に賛同の動きが広がっている。
【独自取材】「ホワイト物流」賛同企業・組合・団体、1000の大台に到達
ロジビズ・オンラインが主要業種の製造業、卸・小売業、運輸・郵便業でそれぞれ宣言の内容を調べたところ、運動で取り組むと表明している項目のうち、業務効率化のツールに関しては3業種とも「パレット等の活用」を選択した比率が5割台を維持しており、運動の開始当初から注目度が引き続き高いことがあらためて示された。
一方、物流施設の荷役で課題となっているトラックの長時間待機の対策として物流業界などの関心を集めている「予約受付システムの導入」は卸・小売業で選択する向きが目立つものの、製造業や運輸・郵便業は依然1割にも到達しておらず、温度差を感じさせる結果となった。4カ月前の1月末時点(812)と比べても割合は上昇していない。
予約受付システムに関しては、全日本トラック協会が運送事業者に対し、荷主企業へ導入を提案する際の基礎資料となるガイドラインを公表するなど、活用を目指す動きが出ている。ただ、ホワイト物流運動に賛同した企業などの回答を見る限りでは、荷主と物流事業者双方で機運が非常に高まっているとはまだまだ言いがたいようだ。
【2020年5月31日版】「ホワイト物流」運動・自主行動宣言取り組み詳細データ
製造業は新規選択がゼロ
5月末時点で宣言の具体的内容を開示している企業などの数は、運輸・郵便業が457、製造業が307、卸売・小売業が88。1月末に比べると運輸・郵便業が108、製造業が29、卸売・小売業が9ずつ増えている。なお、ホワイト物流推進運動の専用ウェブサイト上の分類では同一企業でも本社と営業所でそれぞれ提出があった場合は2社とカウントしており、ロジビズ・オンラインの調査もウェブサイトの方針に準拠した。
「パレット等の活用」を選んだ割合は5月末時点で運輸・郵便業が50・1%、製造業が55・0%、卸売・小売業が51・1%となっており、いずれも1月末からわずかに下がっているものの過半数をキープしている。「物流の改善提案と協力」を除けば、3業界全てで「パレット等の活用」が最も多い状況も変わっておらず、パレット活用が物流業務改善の入り口になっている印象が見受けられる。
しかし、「予約受付システムの導入」は5月末時点で製造業が8・8%、運輸・郵便業が6・8%にとどまっており、卸売・小売業が25・0%なのとは対照的だ。卸売・小売業は着荷主となることが多いため、予約受付システムへの関心が相対的に高くなっている可能性がある。
1月末時点は製造業が9・7%、運輸・郵便業が7・2%で、わずかながら低下してしまっている。卸売・小売業は25・3%でほぼ横ばいだった。4カ月間で新たに「予約受付システムの導入」を選択したのは運輸・郵便業で6社、卸売・小売業で2社あったが、製造業はゼロだった。
必要性が叫ばれ続けている「物流システムや資機材の標準化」に関しても、5月末は製造業が6・5%、運輸・郵便業が8・5%、卸売・小売業が13・6%となっている。
(藤原秀行)