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【独自取材】輸出入業務システム開発・販売のバイナルが日本企業初、シンガポールの通関ビッグデータ使用許諾取得

【独自取材】輸出入業務システム開発・販売のバイナルが日本企業初、シンガポールの通関ビッグデータ使用許諾取得

政府系企業とホワイトラベル契約締結、業務効率化など推進

輸出入業務システムの開発・販売を行うバイナル(名古屋市)のシンガポール現地法人は、シンガポール国営企業傘下のGlobal eTrade Services(GeTS)とシステム連携に関する業務提携契約を結んだ。

GeTSの親会社CrimsonLogic(クリムゾン・ロジック)はシンガポールの税関システム「TradeNet」の開発と運営を担っている。その周辺アプリケーションを手掛けるGeTSの貿易プラットフォームは世界60カ国以上の税関システムと連携し、年間2,400万件を超すトランザクションを実行している。

今回のホワイトラベル契約により、バイナルはGeTSが蓄積している国際物流のビッグデータを自社サービスに利用、ユーザーの業務効率化などをさらに推進できる。同様の取り組みは日本企業では初めてという。バイナルが7月8日、英文でプレス発表した。

国際物流の課題解決に貢献

ビッグデータ利用の手始めとして、同日から輸出入・通関手続きで使用するHSコード(品目コード)を基に、FTA(自由貿易協定)などの諸制度も考慮した適切な関税率を自動検索する機能を自社のシステム「TOSS」に追加。併せて、国ごとに異なる必要なドキュメントを一覧にして表示する機能もリリース。従来、作業者が複数のシステムにアクセスして行っていた業務を効率化した。

HSコードは「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)」で定められた物品の品目を表すコードで、現在約200の国・地域が使用している。上6桁は世界共通だがそれより下は国ごとに異なる。

例えば日本から他国へ製品を輸出する場合、日本のHSコードを付与して輸出手続きを行うが、輸入国側ではその製品の情報から輸入国のHSコードを付与して輸入手続きを行わなければならない。

バイナルの青山慎司シンガポール現地法人社長はロジビズ・オンラインの取材に対し「特に多国にまたがり事業を展開するグローバル企業では、その業務の非効率が軽視できない負担となっている。しかし、数百に及ぶ国や地域の、日々改訂されるHSコードと関税率、貿易に関する協定の内容をデータベース化して最新の状態に保つことは極めて困難だ」と指摘。

今回の新機能ではGeTSの持つ取引のビッグデータをAIで解析し、適切な関税率を導くアプローチを採用したと説明した。その上で青山氏は「国際物流にはこうした技術によって解決できる課題がまだまだあり、GeTS社との取り組みは今回だけにとどまらない」と強調した。

またバイナルは7月より、MarineTrafficがAIS(船舶自動識別装置)を利用し提供している船舶の航行情報を自社の業務行程管理システムに反映する新サービスを開始した。貨物を積んだ船の位置をリアルタイムに表示することで、荷主からの問い合わせ対応を効率化するのが主な狙いだ。

青山氏は新サービス導入の背景として、国際物流で長年専門職による煩雑な事務作業が行われてきた経緯に触れ、いまだに電話やファクスによるアナログのやりとりが根強い業界の問題をあらためて指摘。「多くのグローバル企業が今、国際物流業務の自動化に懸命になっている。GeTSとのパートナーシップにより日本とシンガポールだけでなく、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域をはじめ将来的には世界に優れた製品を提供できると考えている」と今後の展開に意欲を見せた。

(川本真希)

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