21年7月稼働開始予定、6割の業務削減目指す
スポーツ用品販売大手のアルペンは8月6日、村田機械の3Dロボット倉庫システム「ALPHABOT(アルファボット)」を愛知県小牧市の物流拠点「アルペン小牧ディストリビューションセンター(DC)」に導入すると発表した。稼働開始は2021年7月の予定。
ALPHABOTは村田機械が2019年に戦略的パートナーシップを結んだ米物流ロボットメーカーAlert Innovation(アラートイノベーション)から技術導入。保管からピッキングまでロボット台車で完結させたシンプルな仕組みの自動倉庫システムで、従来の自動倉庫と異なり、走行・昇降機能を有するロボット台車(ボット)が保管ラックの外も走行してピッキングポイントに商品を自動で供給できるのが特徴だ。
膨大な在庫商品からオーダー単位で商品をそろえる作業者は、広大なスペースを歩き回らず定点で効率良くピッキングすることが可能。商品を高さ6メートルの立体保管ラックに収納するため、AGV(無人搬送車)型ロボットより少ない床面積で大量の在庫商品に対応できるのもメリットだ。ボットは130台で、約2万6000ケースを保管できる。
ALPHABOTシステムのロボット台車「BOT」のイメージ※クリックで拡大
アルペンは物流現場の人手不足や新型コロナウイルスの感染拡大による密集回避のため、自動化・機械化を推進。フィットネス用品やサポーターなど比較的小さなアイテムに特化している同センターでALPHABOTを駆使し、商品の保管補充やピッキング、仕分け、梱包の工程で業務を約6割削減することを目指す。他の物流拠点に展開していくことも視野に入れている。
ALPHABOTの活用により、立体保管を採用して庫内の商品保管効率をアップ、取扱商品も拡充できるほか、作業スタッフの歩き回る距離や手間を減らし、新人スタッフでもすぐに作業に慣れることができるようになると見込む。ピッキングから仕分け梱包まで一貫して行える体制に移行し、ヒューマンエラーの削減や仕分け・出荷効率の向上にもつなげる狙いがある。
アルペンは新たな物流戦略として、アパレルやシューズ、大物(キャンプ用品やゴルフキャディーバッグなど)、小物(フィットネス用品やサポーターなど)といったカテゴリー別に物流網を整流化。店舗までの供給リードタイムの大幅短縮化、売場やブランド別梱包納品による店舗品出しまでの作業簡素化、出荷物量コントロールによる庫内作業人数および配送の最適化の3点を実現させていく構えだ。
導入システムのイメージ(いずれもアルペン提供)※クリックで拡大
(藤原秀行)