【新型ウイルス】東芝ロジ買収、「4PL」機能や海外展開強化に期待

【新型ウイルス】東芝ロジ買収、「4PL」機能や海外展開強化に期待

SBSHD・鎌田社長、BtoC配送網整備も推進継続表明

SBSホールディングスの鎌田正彦社長は8月7日、東京都内の本社で開いた2020年12月期中間決算説明会の席上、東芝子会社の東芝ロジスティクス買収を決めたことに関連し、企業の物流業務を受託する3PL事業にとどまらず物流改革の全体戦略立案まで踏み込んで担う「4PL」機能や海外事業展開の強化にあらためて強い期待を示した。

東芝ロジ買収で「何でもできる会社になる」と3PLの事業領域拡大に意欲

また、新型コロナウイルスの感染拡大で“巣ごもり消費”が拡大、インターネット通販の利用が急増しているのを踏まえ、BtoC領域の配送網整備も引き続き推進していく姿勢を明確に示した。

鎌田社長は東芝ロジについて「海外9カ国に14の現地法人を持ち、3PL受託業者の上に立って(戦略の)コンサルティング提案を担う4PLも手掛けている非常に大きなカンパニー。海外まで入れると1000億円超の企業規模があるとみている」と事業規模拡大に大きな期待を見せた。

併せて、「東芝ロジスティクスの物流拠点は全国に18万坪くらいある。一緒にできるところは一緒に使わせてもらったり、当社の大きな拠点に統合させてもらったりすることもできそうだ」との見解を示し、東芝ロジと国内外で拠点や車両の有効活用に努める構えを見せた。

さらに、東芝ロジスティクスが電力設備などの重量物や家電製品など、SBSHDがこれまで弱かった分野を手掛けていることに言及。「本当にパーツがそろい、日本とグローバルの両方で何でもできる会社になっていく。家電量販店など向けの仕事も可能になる」と自信を見せた。


鎌田社長(今年2月撮影)

愛知・一宮や千葉・富里に物流センター用地を確保

新型コロナウイルスの感染拡大に対しては、BtoBの物流やオフィス・百貨店向けの物流の取扱量が縮小するなどの影響が出ているものの、ECや生協、食品スーパー、ホームセンター、ドラッグストアといった生活必需品に絡む分野の物流需要が拡大していると解説。荷主の多様化で業績の振れ幅を最小限にとどめることができたとの見解を表明した。

その上で「コロナが収束してもECは伸びると思っている」と予想、EC関連の物流を担う倉庫や配送機能の整備を引き続き続ける姿勢を強調した。その関連として、読売新聞社の新聞販売店と連携して独自の宅配網を整備している取り組みに関し、現在の東京23区から対象エリアを首都圏の1都3県に拡大していきたいとの思いを重ねて示した。

BtoBの配送網についても、グループのSBSリコーロジスティクスやSBS即配サポートと協働し、複数のEC企業のBtoB宅配を展開しているとアピール。20年は兵庫や滋賀、京都、福岡、佐賀、大分にエリアを広げていく計画を明かした。

物流施設の整備をめぐっては、愛知県一宮市で9000坪、千葉県富里市で1万5000坪の用地をそれぞれ確保したと説明。物流施設の流動化に関しては、大阪の南港物流センターが次の候補に挙がっており、22年以降は横浜や千葉・習志野、埼玉・越谷のセンターが想定されると述べた。

(藤原秀行)

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