コロナで経済先行き不透明も、物流施設好調が背景か
国土交通省が9月29日発表した2020年の都道府県地価調査(基準地価、7月1日時点)は、全国の全用途平均が前年同期から0・6%下落した。19年の0・4%上昇からマイナスに転じ、17年以来、3年ぶりに前年水準から下がった。
新型コロナウイルスの感染拡大で訪日観光客が激減するなど、経済の先行きに不透明感が高まり店舗やホテルの需要が縮小したため、住宅地と商業地で需要が落ち込んだ。ただ、工業地はプラスを維持しており、物流施設の需要が好調なことが背景にあるとみられる。
用途別の平均では住宅地が0・7%下落し、19年(マイナス0・1%)から下げ幅が0・6ポイント拡大。商業地は19年のプラス1・7%からマイナス0・3%へ2・0ポイントも下がった。一方、工業地は0・2%のプラスで、19年のプラス1・0%からは勢いが鈍化したものの、上昇基調を維持した。
工業地の三大都市圏別上昇率トップ10を見ると、千葉県の松戸市や船橋市、市川市、神奈川県厚木市、京都府久御山町や京田辺市など、東京圏と大阪圏は物流施設の開発が多く見られるエリアが散見される。
(藤原秀行)