大和ハウス、物流施設など建設現場のデジタル化へ取り組み加速

大和ハウス、物流施設など建設現場のデジタル化へ取り組み加速

米設計ソフト大手オートデスクやNECと相次ぎ連携発表

大和ハウス工業は9月30日、物流施設などの建設現場でDX(デジタルトランスフォーメーション)を広げていくため、取り組みを加速すると発表した。

米国の設計用ソフトウエア大手オートデスクやNECと相次ぎ個別に連携する方針を公表した。両社の先進技術を最大限に活用し、建設作業の効率化や自動設計など技術の核心を図る。

 
 

オートデスクとは9月30日、戦略的連携に関する覚書を締結した。大和ハウスとオートデスクは2018年8月、建物を3D(3次元)で表現可能なシステム「ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)」を建設事業で活用するため、戦略的連携で合意。施工現場でのBIM利用促進などを共同で図ってきた。

今回、2年間の新たな覚書を結び、自動設計など先端技術の開発、電子契約やペーパーレス化といった業務プロセスの改善、建設現場のテレワーク化を推し進める方針を確認した。大きな目標として建設事業の無人化・省人化を見据えている。

東京都内の大和ハウス東京本社内でオンライン記者会見したオートデスクのアジアパシフィックアカウント営業本部でシニアディレクターを務めるルー・グレスパン氏は「大和ハウスは事業のスピード感がとても素晴らしく、建設業界を変える可能性がある会社だと感じた」とあらためて覚書を締結した背景を説明。

大和ハウスの南川陽信上席執行役員(建設デジタル推進担当)は「(物流施設など)特定の用途の建物に限って何か違う試みをするのではなく、建築事業で全般的にDXを進めていく」と強調した。


覚書に調印したオートデスクのスティーブ・プラム ワールドワイドフィールドオペレーション担当チーフレベニューオフィサー兼シニアバイスプレジデント と大和ハウス工業の南川上席執行役員(以下、いずれも大和ハウス工業提供・クリックで拡大)

AIなど駆使し施工を遠隔管理

一方、NECとは施工現場における現場監督者や作業員の業務効率・安全性を向上させることを目的に、デジタルデータを活用した実証実験を始めると発表した。実証実験では大和ハウスの施工管理手法と、NECのAI(人工知能)を使った映像分析技術・システム構築の手腕を組み合わせ、施工現場の遠隔管理実現を目指す。

 
 

戸建て住宅の施工現場の状況を遠隔で管理可能な「スマートコントロールセンター」を大阪と東京の両本社など全国10カ所の事業所に設置。10月から運用する。施工現場に取り付けたカメラやセンサーなどから施工の進捗などのデータを収集することを想定している。

さらに、施工現場の映像をAI技術で分析し、工事の進捗管理や作業員の安全性向上、健康管理に関するデータをデジタル化する。遠隔管理は21年4月以降、対象を戸建て住宅以外の物流施設や店舗などに広げ、現場管理者の作業効率を3割高めていくことを念頭に置いている。


スマートコントロールセンターの概要※クリックで拡大


スマートコントロールセンターのイメージ※クリックで拡大

(藤原秀行)

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